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ICT活用工事、今年度は50件の試行目標 宮崎県

 建設現場に於ける生産性の向上を目的として、宮崎県は昨年度に続き、今年度も50件の試行を目標にICT活用工事を公告する予定でいる。国や他県の動向を踏まえた制度の見直しを行い、ICT活用工事の試行の拡大にも取り組む。このほか、ICT活用工事や最新技術に対応できる人材の育成を目的とした研修会・見学会も開催する。

 開会中の9月定例県議会の情報化推進対策特別委員会で、県土整備部の担当者が建設業におけるICT活用工事の取組状況を説明した。

 県内の建設業就業者数は、2015年時点で4万3763人。1995年のピーク時(6万7292人)から約35%減少している。15年時点で、建設業就業者数のうち50歳以上が全体の約52%、29歳以下が約9%で、従事者の高齢化が深刻化している。

 建設業は社会資本整備の担い手であると同時に、社会の安全・安心の確保を担う「地域の守り手」だ。将来の担い手を確保・育成を推進するためには、賃金水準の向上や休日拡大等の働き方改革への取り組みとともに、生産性の向上が必要不可欠となっている。

 こういった状況を踏まえ、国土交通省は2025年度までに建設現場の生産性を2割向上させることを目指し、調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新の全てのプロセスにICT等を活用するi-Constructionを16年から推進している。

 国の動向に合わせて、宮崎県は17年7月、土工量1万m3以上の工事を対象としたICT活用工事試行要領を制定。翌年3月には予定価格3千万以上の土工を含む土木一式工事まで対象を拡大し、従来の発注者指定型に加え、新たに施工希望者型を追加した。

 17年度には、発注者指定型で河道掘削工事と津波避難施設工事の2件にICT活用工事を適用。18年度にはICT活用工事として58件を公告し、このうち道路改良工事や河道掘削工事、砂防工事など35件でICT活用工事を行った(施工中を含む)。

 18年度にICT工事を実施した受注者に対するアンケート調査では、「作業効率や熟練者不足への対応、検査の簡素化、工事書類の簡素化に効果があった」「丁張りの設置等が不要で人員を削減できた」といった前向きな意見が寄せられた。

 一方で、「初期投資費用やICT建機のリース費用が高額」「ソフト等の専門的な知識が必要」「3次元データを扱える人材が少ない」「構造物を含む工事や小規模工事では作業効率や採算性が低下する」といった課題も浮き彫りになった。

 これまでの試行結果やアンケートの意見等を踏まえ、宮崎県は昨年度に続き、今年度も50件の試行を目標にICT活用工事を発注する。合わせて、これに対応できる人材育成等を目的に、県や市町村職員、施工業者等を対象とした研修会・見学会も開催する。

 また、国土交通省に於いて、ICT活用工事の対象工種の拡大や土工歩掛に於ける小規模区分の新設といった取り組みが進められていることを受けて、国や他県の動向を踏まえた制度の見直しを行いながら、ICT活用工事の試行を拡大していく考えでいる。