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道路橋梁の修繕に技術基準 新材料・新工法の採用拡大

国土交通省は9月27日、社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会を開き、道路の老朽化対策について有識者らと意見を交わした。国交省はこの中で、地方自治体が管理する道路橋の修繕着手率の向上に向け、補修・補強に関する技術基準を策定する考えを提示。修繕方法や性能の確認方法を技術基準に明示し、自治体がコスト縮減につながる新材料・新工法を使用しやすくする。

 5年に1度の点検・診断を義務付けた道路橋では、2018年度末に一巡目の点検が完了した。自治体管理の橋梁では、次回の点検までに措置すべき橋梁(判定区分Ⅲ・Ⅳ)のうち、修繕に着手した橋梁は20%にとどまっており、修繕着手率の向上が今後の課題になる。

 維持修繕のコスト縮減は、耐震補強と補修工事を同時に施工して足場を共有するなど、これまでは施工方法の工夫で対応してきたが、繊維強化プラスチック(FRP)やプレキャスト床版など、コスト縮減につながる新材料・新工法の開発が進んでいる。

 一方、道路橋の新設時の技術基準である「道路橋示方書」は、維持修繕に対応しておらず、修繕後に求められる性能の確認方法も明示されていない。修繕の技術基準がないため、道路管理者は個別に修繕方法を判断しなくてはならず、新材料・新工法を採用しにくい状況にある。

 国交省は、補修・補強に関する技術基準を策定するとともに、新材料・新工法の性能の確認方法、維持修繕に使用できる技術の見える化を産学官連携で整備。自治体による新材料・新工法の活用を広げ、修繕コストの縮減につなげる考えを示した。

 国交省はまた、点検技術者の実務経験にばらつきがあることを問題視し、二巡目に入る定期点検の質を確保するため、点検技術者に求める知識・技術を明確にするなどとした。