▲写真は女性技術者が活躍する現場の模様
日向市の旭建設株式会社(黒木繁人代表取締役社長)は、中長期的な担い手の確保に向けて、企業に於ける人材の多様性(ダイバーシティ)を推進するとともに、誰もが働きやすい職場環境改善に積極的に取り組んでいる。
これまでの建設業は、力仕事や旧3K(きつい・きたない・きけん)といったイメージから男性中心の社会であった。そのような中、同社が施工する国土交通省発注の延岡管内舗装修繕工事では、現場代理人の岡田久美子さんをはじめ、担当技術者として黒木弥生さんとブン・ハイ・イエンさんの女性技術者3人が活躍している。
黒木さんは自衛隊から建設業に転職して3年目。県外勤務だったが、地元で働きたいと考え、同社に就職した。「資格取得のための勉強が大変だが、業務を通じて行政職員や地域住民と話す機会も多く、色々な経験ができて楽しい」と話す。
ブン・ハイ・イエンさんは「日本で土木の仕事がしたい」と考え、ベトナムから来日した。来日から2年、入社から1年が経ち、仕事や環境の変化にも慣れ、楽しみながら業務に取り組んでいる。
「女性専用の更衣室やトイレもなく、技術者として見られないこともあった」と入社当時を振り返る岡田さんは8年目の中堅。「今では更衣室等の設備も整い、経験を重ねてコミュニケーションをとる中で、周囲から技術者として認めてもらえるようになった」と話す。
岡田さんは、女性技術者2人の現場施工管理や書類づくりを指導しながら、これからの女性が活躍するモデル現場を目指し、日々頑張っている。出前授業や就職説明会等にも積極的に参加し、建設業が女性も活躍できる、魅力ある仕事であることを伝えている。
岡田さんは、「女性が建設現場で働くことが当たり前になり、男性・女性それぞれが得意なことをやりながら、平等に仕事をする環境になるといい。同僚や協力会社からも相談される、実力を持った技術者になりたい」と話す。
同現場で監理技術者を務める甲斐晃さんは、「一昔前は女性技術者は少なかったが、最近では多くの女性が活躍している。女性技術者がいると、現場の雰囲気が明るく、和やかになる」と指摘する。同社の木下哲治専務は、「女性が技術者として普通に働くことができる、多様性のある新しいカタチを目指していきたい」と話す。