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事業費は免震構造で39億円 日南市新庁舎検討委員会

 新庁舎の建設計画を進める日南市は、自治会や関係団体の代表、公募市民、市の幹部職員で組織する「みんなでつくる新庁舎建設検討委員会」の第7回会議を1月29日に開催し、新庁舎建設に係る基本計画案を示した。現市役所敷地に想定面積6400m2程度の新庁舎を免震構造で整備した場合、本体工事費や付帯工事費、設計費等を含む概算事業費が約39億円になることなどを委員に説明した。

 建設から60年以上が経過する市役所庁舎の本館及び議会棟は、建物や設備の老朽化、機能の分散化に加え、耐震性能不足が課題となっていた。平成28年に発生した熊本地震で、庁舎の防災・災害対策拠点としての認識が高まったことを受けて、市は隣接する保健福祉総合センターを中心に本館及び議会棟の庁舎機能を緊急移転している。

 現庁舎が抱える課題の解消や良質な行政サービスの提供等を目的に、市は25年に庁内に設けた検討委員会で「庁舎を建て替える」とする方針を決定。30年3月には新庁舎建設基本構想を策定した。現在は、導入機能や配置計画、規模、事業手法、事業費等を多角的に検討するなど、設計等の指針となる基本計画の策定作業を進めている。

 今会合で示した基本計画案では、高齢者や障がい者等を含む全ての施設利用者が等しくサービスを享受できるとともに、安全・安心で円滑かつ快適に施設を利用できるよう、ユニバーサルデザインや利用者ニーズに考慮した▽窓口機能▽執務機能▽議会機能▽防災機能▽市民活用機能▽環境配慮機能▽セキュリティ機能―の導入を目指すとした。

 新庁舎は、現在の本庁舎及び議会棟の跡地に建設する方針。日南市人口ビジョンに於ける推計値やこれに伴う職員数の見直し、厳しさを増す財政事情等を考慮し、別館等の利活用を視野に入れた新庁舎の想定規模は6400m2を上限とする。詳細な規模に関しては、基本設計の平面計画の中で精査を行い、最終決定する。

 構造形式に関しては、4階建て程度とする庁舎規模や耐震性能、整備費等を総合的に判断し、現時点では「免震構造」を軸に計画を進めるが、建設場所の地質調査等の結果を踏まえて決定する。耐震安全性の基準は、大地震動でも主要機能を維持できる▽構造体=Ⅰ類▽建築非構造部材=A類▽建築設備=甲類―として計画を進める。

 新庁舎の完成後、事務機能を移転した既存の別館は会議室や書庫・倉庫等に改装し、各種団体等の事務室として活用する方針。庁舎機能が入居している保健福祉総合センターは、本来のセンターとしての機能に戻し、施設の一部を執務室として活用する。駐車場に関しては、少なくとも現在(185台)と同程度以上を確保する見通し。

 財源に充てる合併推進債の活用や地域経済への貢献を考慮し、整備手法は設計・施工分離発注方式(従来方式)とする。設計者の選定に際してはプロポーザル方式を採用する方針。新庁舎建設に係る設計業務では、基本設計の思想を実施設計に反映し、一貫性を持たせる必要があるため、基本設計と実施設計は一体で発注する。

 新庁舎に免震構造を採用し、外構整備面積を約1万m2と設定した場合の概算事業費は、新庁舎工事費が約32億円、既存施設解体や外構整備、公用車車庫等のその他工事費が約5億円、設計費や什器・備品等のその他経費が約2億円の合計39億円と試算する。耐震構造を採用した場合には、ここから3億円程度の減額を見込む。

 事業スケジュール案によると、31年度~32年度に新庁舎の基本・実施設計を進めると同時に、32年度に既存の本館及び議会棟の解体工事を行う方針。33~34年度に新庁舎の建設工事、34年度に外構工事を行い、合併推進債の活用期限を1年前倒しする34年度の工事完了を目指す。

 市は近く、新庁舎建設に係る基本計画案をホームページ等で公表し、これに対する意見募集(パブリックコメント)を行う予定でいる。