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労務費=労務賃金と定義、全国・全職種に浸透 日建連

 建設技能者の賃金の引き上げに向け、昨年9月に『労務費見積もり尊重宣言』を行った日本建設業連合会(山内隆司会長)が、具体化に向けて実施要領をまとめた。この中で、「労務費」の定義について、社会保険料の事業主負担分などを除外した、建設技能者に実際に支払われる「労務賃金」だと明記した。また、今後のスケジュールとして、2018年度中に会員企業が1次下請けに説明するなど準備を進め、18年度中に見積もりの確認などを含め各社が対応方法を確立する実施目標を盛り込んだ。23年度をめどに全国の全職種の下請けに取り組みを浸透させる。

 「労務費」については、事業主が負担する法定福利費や、その他の間接経費を含める考え方もある。しかし、宣言の趣旨は「技能者本人の給与・賃金を適切な水準に引き上げていくことにある」と強調。1次下請けに求める労務費見積もりでは、2次以下の雇用者を含め、技能者本人に支払いを予定している金額を明確化することが最も重要だとした。これを踏まえ「労務費」を、手当・賞与などを含めた総支給額である「労務賃金」と定義した。

 各企業での具体化の手順ではまず、宣言の趣旨を1次下請けに周知。1次下請けを通じて2次下請けにも伝える。この際、「労務費(労務賃金)」の定義も説明する。そして、見積書の様式に労務賃金の項目を追加するなどして、明示を求める。労務費の見積もりを尊重するとともに、算出方法を確認、1次下請けと認識を合わせる。

 労務費見積もりの対象については、「宣言に沿って全業種・全地域で実施することが目標だが、当面、各社で可能な範囲を決めてほしい」とし、労務費率が高いとびや土工、型枠、鉄筋、左官などの職種から始めることや、本社所在地など主要なエリアからスタートすることを例示した。

 実施目標では、19年度に各社で労務費見積もりの要請と確認の方法を確立。20年度以降、19年度のフォローアップアンケートや賃金専門部会での検討を踏まえ、職種や地域など取り組みの範囲を拡大する。5年後の23年度をめどに全職種・全国に対応を行き渡らせ、「技能者の賃金が適切に評価される状況」を一般化する。

 日建連では毎年、会員各社の取り組み状況を調査。これを踏まえて実施要領を見直し、会員の継続的な取り組みを推進し、宣言を定着させる。