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ICT活用工事の取り組み 旧公団等の機関でも浸透

 3次元情報を設計や施工、維持管理などの各段階で用いる「ICT活用工事」が、旧公団などの発注機関で浸透してきている。東日本高速道路は2017年度、建設事業生産性向上部会を設置し、ICT活用工事の初弾を発注。18年度も対象工事の抽出を予定している。水資源機構では独自に「i-Construction&Management」の取り組みを推進しており、18年度はICT活用工事6件を発注する。日本下水道事業団は下水道分野での適用方策を検討するなど、発注機関ごとにそれぞれの特性に応じたICT活用を模索している。

 ICT活用工事では、「3次元起工測量」「3次元測量設計データ作成」「ICT建機による施工」「3次元出来形管理等の施工管理」「3次元データの納品」など、工事の各段階でICT技術を全面的に導入する。国土交通省では土工や舗装工、浚渫工などで活用が進んでいる。

 東日本高速道路は17年度、建設事業生産性向上部会でICTを適用できる工事を抽出し、施工会社などと連携してi-Constructionモデル工事ワーキンググループを設置。ICT土工の工事管理に適用する「ICTを活用した土木工事の実施要領」を基準化するなど、ICT活用の環境を整えた。18年度も同部会で対象工事を抽出し、ICT建機による3次元マシンコントロール(MC)の採用を検討する。

 中日本高速道路は17年度、工事受注者との協議を経てICT活用工事4件などを決定した。

 一方、首都高速道路では調査・設計や施工、維持管理の情報を統合管理するマネジメントシステムの構築を検討。ただ、土工や舗装工などでのICT活用工事は現在のところ予定していない。受注者から提案があった場合に協議の上で採用していく考えだ。

 都市再生機構では17年度、ICT建機を活用した工事を1件実施済み。管理基準や積算基準など、ICT活用工事を適用する際の条件などについて引き続き検討していく。

 水資源機構では、小石原川ダム建設事業(福岡県朝倉市)をフィールドに、i-Conに維持管理の観点を取り入れた独自の取り組みを実施中。また、ICT活用工事(土工)を17年度に7件実施しており、18年度も関東地域で6件を予定。活用工事の結果を踏まえ、課題を抽出する。

 下水道事業団では、下水道CIMの実用化や、下水道分野でのICT活用方策について検討中。構造物築造工事が主体となっていることもあり、土工や舗装工でのICT活用工事は予定していない。