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総合運動公園に避難施設、デッキや高台整備 宮崎県

 宮崎県は、プロスポーツ球団のキャンプや全国規模の各種大会に活用されている宮崎県総合運動公園(宮崎市熊野)に津波避難施設を整備する計画を明らかにした。避難困難者が生じる可能性がある敷地内の各エリアに、避難デッキや盛土高台等の避難施設を配置する。これらの整備に係る概算事業費の合計を約42億円~62億円と試算する。

 県が掲げる「スポーツランドみやざき」の中心施設である総合運動公園は、年間で約139万人が利用しており、2026年の2巡目国体に向けて更なる利用者の増加が見込まれる。一方で、今後30年以内に大規模地震が発生する可能性が高まっていることを踏まえ、新たな津波避難施設を整備することで利用者の安全を確保する。

 東日本大震災での津波被害を踏まえ、県が平成25年2月に設定した津波浸水想定では、総合運動公園に於いて2~10mの浸水深が想定されている。現在は、最大浸水想定の10mより高い位置にスペースを有する▽サンマリンスタジアム▽第1陸上競技場▽青島青少年自然の家―の3施設に避難誘導を行うこととしている。

 近年の大規模イベント時の利用状況や津波到達までの避難可能距離(500m以内)等を考慮した場合、既存の避難施設のみでは避難スペースが不足する。また、総合運動公園を4つのエリアに分けて避難困難者数を算出した結果、3つのエリアで避難困難者が生じる可能性があるため、これらのエリアに津波避難施設を整備する。

 サンマリンスタジアムを中心とするエリアには、内外野スタンド間の迅速な避難誘導に優れた、高さ約8mの避難デッキ2基(RC造、各70m×12m)を整備する方針。概算事業費は約12億円。雨天時の屋根付きイベントスペース等として平常時も活用する。これとは別に、約1億円を投じて連絡橋(8m×15m)も整備する予定。

 陸上競技場やひむかスタジアムを含むエリアには、盛土構造の高台(35m×360m)を整備する考え。浸水深7mに余裕高2mを加え、高さを9m程度とする。東九州自動車道の建設工事で発生した残土を活用するなど、盛土材の確保状況により事業費の縮減が可能なため、事業費を約18億円~38億円と幅を持たせて概算する。

 一方、テニスコートや運動広場を含むエリアには、RC造の避難デッキを2箇所に分散して整備する。高さは8m程度で、各デッキの規模は12m×60mと12m×80m。平常時には、熱中症対策としての日陰スペースやテニスコート及び運動広場の観戦デッキとして活用する。概算事業費は合わせて約11億円を見込む。

 今後は、各エリアに整備を計画する津波避難施設の基本・実施設計に着手するとともに、盛土高台に関する保安林協議など関係機関との協議や地元住民への説明を行う方針。新たな津波避難施設の整備について、早期の事業化を図っていく考えでいる。