国土交通省は、2019年度に建築確認手続きの電子申請システムを構築する。建築確認手続きの電子化は2014年度に始まったが、一部の指定確認検査機関が対応しているのみで、オンラインの申請件数は全体の3.6%にとどまる。建築確認手続きの簡素化を目指す同省は、民間事業者に費用の一部を補助し、電子署名認証や審査履歴の蓄積などに限った簡易なシステムを構築する。電子化に対応していない指定確認検査機関や特定行政庁にこのシステムの利用を促し、申請者の利便性を向上させる。
建築確認手続きは、これまで事前審査をインターネット上で行うことはあるが、最終的な審査まで行う事例はほとんどなかった。
国交省は2014年5月に「建築確認手続き等における電子申請の取り扱いについて」と題した技術的助言(通知)を特定行政庁、指定確認検査機関に送り、電子申請の際に付与する電子署名の要件などを明確化。現在は、指定確認検査機関の約1割が電子申請に対応しているが、全申請件数に占める電子申請の割合は依然として3.6%にとどまっている。
今年6月に閣議決定した政府の「未来投資戦略2018」では、インフラ分野の生産性を高める一環として、建築確認手続きのさらなる電子化を図る方針が盛り込まれた。これを受け、国交省は19年度の概算要求に「建築情報システム高度化促進事業」として4500万円を盛り込んだ。
同省は民間事業者を公募し、システムの構築費用の一部を補助。建築確認手続きの電子化に対応していない指定確認検査機関と特定行政庁は、独自にシステムを構築しなくても、民間事業者に利用料金を支払って電子化に対応できるようになる。
建築確認手続きを電子化する際、申請図書には申請者、設計者、工事監理者の押印を代替する電子署名を付与することが求められる。19年度に構築するシステムには、この電子署名への対応の他、申請者と審査機関との審査履歴を蓄積できる機能を備えたものとする。電子化対応のサービス向上を図りたい審査機関などには、このシステムをベースに機能を充実させることも認める。