■ 県内企業最上位は森崎建設工業の15位
東京商工リサーチは、2017年(1月期~12月期)に決算を終了した九州・沖縄地区の建設業売上高ランキングをまとめた。売上高50億円以上をあげた企業は前年比9社増の119社、売上高合計は1兆7189億円(同9.7%増)で、いずれも2年ぶりに増加した。ランキングのトップは32回連続で九電工。宮崎県内企業は前年比1社増の12社がランクインし、最上位は森崎建設工業の15位だった。
今回ランキングの登場企業数は119社。ピークは97年の169社で、その後は減少傾向が続き、09年以降は5年連続で社数の二桁推移が続いた。最少は10年及び11年の85社。12年以降は増加に転じ、15年は15年は115社に達した。16年は減少したが、17年は新登場社数が前年比3社増の7社、再登場が同4社増の11社など19社増加した。対して脱落は同7社減の10社で、登場企業は前年から9社増えた。
登場社数が増加し、さらに増収企業の構成比が前期比10.4ポイントアップの72.2%となったことから、売上高の合計は前年比1529億円増、伸長率は前回のマイナス1.6%か9.7%と、いずれも2年ぶりに増加した。熊本地震の復興やマンション、病院福祉施設、商業施設など民間需要が引き続き堅調に推移して増加した。
利益金の合計は前年比134億円増の645億円。伸長率は26.3%増で5年連続の増益となり、集計開始以来の過去最高を更新した。経費削減など各企業が収益体質の改善を進め、人手不足の中で選別受注により利益率の確保に取り組む企業が増加し、16年に続き、17年も集計開始以来の過去最高を更新した。
県別の売上高は、福岡が9663億0900万円(前年比3.0%増)、佐賀が1272億3400万円(同18.6%増)、長崎が682億5100万円(同19.8%増)、熊本が1077億円(同12.4%増)、大分が721億1700万円(同0.9%増)、宮崎が1220億3000万円(同28.0%増)、鹿児島が775億7400万円(同72.4%増)、沖縄が1777億1300万円(同13.8%増)で、いずれの県も増加した。
一方、各県別の利益金は、福岡が427億6000万円(前年比16.9%増)、佐賀が43億3200万円(同240.5%増)、長崎が10億2100万円(同1.9%増)、熊本が39億4600万円(同22.1%増)、大分が11億8800万円(同62.9%増)、宮崎が40億8500万円(同31.8%増)、鹿児島が28億3300万円(同216.1%増)、沖縄が43億3700万円(同1.8%増)となった。
増収企業数は、福岡が47社中28社(構成比59.5%)、佐賀が7社中4社(同57.1%)、長崎が7社中6社(同85.7%)、熊本が12社中11社(同91.6%)、大分が7社中5社(同71.4%)、宮崎が12社中10社(同83.3%)、鹿児島11社中9社(同81.8%)、沖縄が16社中13社(同81.2%)。全体では119社中86社で、構成比は72.2%となった。
県内登場企業では、増収率2位の森崎建設工業が前回4位から1位にランクアップ。前回1位の清本鉄工は前期比19.1%増で2期ぶりの増収となったが、前回の1位からランクダウンした。3位の吉原建設は、病院やマンションの大口があり前期比18.8%増。4位の九南は県内最大手の電気工事業者で、前期比1.2%増で2期ぶりの増収となった。5位は増収率8位の増田工務店で前期比60.3%増の大幅増収となった。
2018年の見通しについて東京商工リサーチは、「地場大手を中心に受注体制が整備された企業はさらなる業績伸長が期待されるが、人手不足やコスト増を吸収できない企業との二極化の進行や地域間格差が広がる懸念はある」とする一方で、熊本地震及び九州北部豪雨の災害復旧関連事業の本格化を含め、公共工事の発注状況が堅調さを維持し、民需も当面は堅調に推移することが見込まれることから、「次回ランキングも登場社数、売上高が更に増加することが期待される」とまとめている。