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設備棟は中止、免震構造を軸に 日南市新庁舎建設検討委員会

 新庁舎の建設計画を進める日南市は、自治会及び関係団体の代表や公募市民、市の幹部職員で組織する「みんなでつくる新庁舎建設検討委員会」の第5回会議を日南市役所で開いた。会合では、市の担当者がこれまでの検討内容や整備方針等を委員に説明。基本構想で建設を計画していた設備棟を建設しないことや、新庁舎の構造形式に関して「免震構造」の採用を軸に計画を進めることなどを確認した。

 市役所本庁舎の本館及び議会棟は建設から62年が経過し、建物本体及び設備等の老朽化が進む。また、平成元年に行った耐震診断では「震度6強の地震で倒壊または倒壊の危険性がある」ことが判明。庁舎機能が本館・別館・議会棟・保健福祉総合センター等の複数棟に分散し、バリアフリーへの対応や駐車場も不十分な状態にある。

 現庁舎が抱えるこれらの課題を解消し、良質な行政サービスの提供と市民のニーズに応えるため、市は平成25年度より庁舎等の整備に関する検討を実施。市民会議からの提言等を踏まえ、副市長及び関係課長で組織する日南市庁舎整備検討委員会に於いて、新庁舎建設に係る基本的な考えを示した基本構想を今年3月にとりまとめた。

 基本構想では、▽市民サービスの充実を目指した庁舎▽環境にやさしい庁舎▽防災拠点としての庁舎▽市民に開かれた庁舎―を基本方針に掲げる。新庁舎の建設予定地は、本館と議会棟を解体した跡地を予定。将来の想定職員・議員数や一部既存施設の活用、防災・減災対策等を考慮し、新庁舎の規模は6400m2を上限に設定する。

 9月3日に開かれた検討委員会(金丸次男会長=吾田地区自治会長)の会合では、今年6月に行った小林市役所新庁舎の視察結果を報告。参加した委員からは▽庁舎の目指すべき姿の明確化▽市民目線に立った庁舎▽市産材(飫肥杉)の活用▽防災庁舎としての機能―などの点に於いて、今後の庁舎整備に役立てるべきといった意見が寄せられた。

 その後、市の担当者が整備方針の変更箇所等について報告。基本構想では、本館にある電話交換機の移設やキュービクルを仮設する施設として設備棟を事前に建設することを検討していたが、別館や保健福祉総合センターを活用することでこれらの機能確保に目途が立ったことから、設備棟の建設は行わないことを確認した。

 新庁舎には総合的な防災・災害対策拠点としての機能が求められることから、4階建て程度とする庁舎規模や耐震性能、建設費等を総合的に評価し、「免震構造」の採用を軸に計画を進める。国の基準等を踏まえ、特に重要な防災拠点施設の目標とされている耐震安全性(構造体=Ⅰ類、建築非構造部材=A類、建築設備=甲類)を目指す。

 整備手法に関しては、従来方式である設計・施工分離発注方式やリース方式、民間事業者の資金やノウハウを活用するPFI方式等について様々な視点から検討を行った結果、合併関連債の活用や地域経済に貢献できることを踏まえ、新庁舎建設事業には設計・施工分離発注方式を採用することを確認した。

 検討委員会の意見等を踏まえ、市は今年度内に基本計画を策定する方針。事業スケジュール案では、平成32年度までに設計と本庁舎の解体を完了させることとしている。財源として想定する合併推進債の活用期限等を踏まえ、33年度に建設工事に着手し、外構工事を含めて34年度内に新庁舎を完成させる考えだ。