建設ネット企画画像 四角 四角

県営プール整備で民間対話 収益施設の併設など意見

 2026年に本県で開催予定の第81回国民体育大会に向けて、主要会場となるプール施設の整備を計画する宮崎県は、官民連携による施設整備の可能性を探る民間事業者との対話(サウンディング調査)の結果を公表した。建設候補地に関して、9グループが錦本町、1グループが総合運動公園、5グループが複数候補地等について意見や提案を行ったという。また、収益施設を併設することや、観客席を仮設で対応するなどして、県費を縮減できるといった意見も寄せられた。

 宮崎市内に整備するプール施設は、国際プール基準を満たす屋内型の競技プールと、一般プール基準を満たす原則屋内型の補助プールを想定。2000席~2500席の観客席(一部仮設可)を設け、延床面積の合計を1万m2程度と概算する。錦本町の県有グラウンドや熊野の県総合運動公園を建設予定地としている。

 官民連携による施設整備の可能性について民間事業者等から意見や提案を募るため、今年6月に事業概要や対話の実施方法に関する説明会と建設候補地の現地見学会を開催。7月10日から7月13日にかけて対話を行い、15グループ20社(建設業6、建築士事務所5、スポーツ関連3、その他6)が参加した。

 対話では、望ましいと考える建設地や選択理由、施設規模及び施設内容、整備費及び維持管理・運営費、県費縮減のためのアイデア、利用促進が図られる付随施設または事業、事業手法、事業への参加条件、現時点での参加意向などについて意見や提案を求め、7月31日に対話の結果を公表した。

 建設地に関しては「利便性の良さなどから官民連携の可能性がある錦本町の県有グラウンドが整備地として望ましい」といった意見のほか、「現在プールがあるKIRISHIMAヤマザクラ宮崎県総合運動公園はスポーツ施設が充実しており、アスリート等が使用する施設としては国内有数で魅力的」といった意見もあった。

 整備施設に関しては「屋内プールであれば年間を通じてアスリートや県民に利用してもらえる」「幅広い世代に利用してもらうため、水深を変更できるようなプール設備を導入してはどうか」といった意見があり、プールと附帯施設のみのシンプルな施設と様々な収益施設等を併設した施設に意見が分かれた。

 県費縮減に向けた取り組みでは「収益施設を併設することでプールの利用料を低廉化できる」「観客席は大会時以外の利用がほとんど無いことから、仮設での対応も検討すべき」といったアイデアがあり、「維持管理費が多大なプール施設は、官民連携で建設・運営しても県費負担がゼロになる可能性は低い」との意見もあった。

 県民の利用促進に向けた施設のあり方に関しては「トレーニングジムや商業施設等の併設により利用者の増加が見込まれる」「自由度の高い空間があればスポーツ以外の利用が期待できる」「競技力向上だけでなく健康増進やリハビリのための施設とすることで多くの県民に使ってもらうことができる」などのほか、「大会開催時に懸念される周辺道路の混雑を緩和するために敷地出入口の対応が必要」との意見があった。

 事業手法に関しては、施設の建設・維持管理・運営に民間の資金とノウハウを活用し、民間主導でサービスを提供するPFI方式、設計の一部と施工を一元化して発注することでコスト縮減等に繋げるDB方式、指定管理者制度等を採用し、民間の知恵や工夫を生かすことで、より良い施設になり得るとの意見があった。

 ただし「円滑な施設の整備・運営のためには、同規模のPFI事業を過去に行った民間企業のノウハウが必要であり、民間企業の参加意欲と提案の自由度の確保が必要」とする意見や、「建設や運営を行うSPC(特別目的会社)の立ち上げにあたっては、県内の民間企業に参加して欲しい」などの意見があった。

 このほか「PFI事業の発注となった場合の要求水準の記載について、メーカーが限定される内容であると競争性に問題が生じる。一方で、ある程度踏み込んだ内容でないと、提案にバラツキが生じるおそれがあるため、今後も対話等の機会を通じて、広く民間企業の意見を取り入れて欲しい」などの意見も寄せられた。

 県では今回の意見等を参考に、建設地及び施設規模等の検討を進めていく考え。今後のスケジュール案によると、9月に検討状況を再度示し、11月に基本計画の素案を整理した上で、平成31年1月にパブリックコメントを実施する予定。同年2月~3月に基本計画をとりまとめる方向でいる。