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林道「古枝尾・向山線」の着手了承 宮崎県公共事業評価委員会

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▲計画路線の基本線形

 宮崎県公共事業評価委員会(谷口義信委員長=宮崎大学名誉教授、委員10人)の平成30年度第1回会合が8月27日に開かれた。会合では、地方創生道整備推進交付金を活用する環境森林部所管の林道事業「古枝尾・向山線」(椎葉村)について事前評価を行い、審議の結果、対応方針の原案どおり、新規に着手することを委員が了承した。

 公共事業評価は、事業の必要性と効果について客観的な評価を行うことで、効率的・効果的な社会資本の整備を実現するために実施するもの。評価の体系は、事業着手前に重要度や投資効果等を評価する事前評価、着手から一定年数経過時点で進捗状況や効果等を把握する再評価、事業完了後に効果や影響等を確認する事後評価に分かれる。

 27日に開かれた会合では、環境森林部が所管する森林基幹道「古枝尾・向山線」について事前評価を実施。森林経営課の担当者が林道の役割や県内の林道整備状況、今後の林道整備計画、環境保全に関する取り組みを説明したうえで、当該事業の目的と必要性、全体計画及び事業概要、事業完了後の効果などを委員に示した。

 当該路線の計画地は椎葉村不土野地区で、利用区域面積は約529㌶。スギやヒノキを中心とする人工林がその多くを占め、人工林のうち下刈りなどの保育が必要な林分や伐期を迎えた林分が合わせて7割を占めているが、幹線となる道路が整備されておらず、木材の搬出や下刈り等の森林整備の実施に支障を来している。

 また、当該地域には古枝尾集落、水無集落、向山日添集落の3つの集落(48世帯・157人)が点在しており、これまでに台風や豪雨等の自然災害で道路が寸断され、孤立状態に陥ったこともある。森林基幹道を整備することで、効果的な森林施業の推進や生活環境の改善を図るほか、非常時に於ける迂回路としての機能も期待する。

 古枝尾・向山線の全体計画延長は9000m(全幅4m)。県道上椎葉・湯之前線(椎葉村不土野古枝尾)を起点、村道椎葉・五家荘線(椎葉村不土野向山日添)を終点とする。新設区間は4588mで、残る4412mは既設の村道や作業道を改築して整備する方針。全体事業費は15億9200万円を見込む。

 平成29年度に行った全体計画調査で事業費が10億円以上となったため、公共事業評価委員会に事業化の是非を諮った。計画では今年度に路線の測量設計業務を行うこととしており、既に現場技術業務や一部区間の測量設計業務を発注済み。順次、整備に必要となる各種業務や工事を進め、平成39年度の事業完了を目指す。

 説明を聞いた委員は、森林施業の更なる推進や国土保全の観点から「基幹道となる林道の整備は必要」と事業の必要性に理解を示した。他方、過去に椎葉村内で山腹崩壊による土砂流出被害が発生したことや、耳川水系に於いて総合土砂管理計画が進められていることを踏まえ、整備に際して排水対策を工夫するよう注文を付けた。