建設ネット企画画像 四角 四角

水道施設や財政基盤を強化 門川町が経営戦略素案まとめ

 門川町は、水道事業の今後10年間の経営の基本計画である「門川町水道事業経営戦略」の素案を策定した。水道施設や財政基盤の強化を図ることを目的にとりまとめたもの。素案は町の公式ホームページや役場環境水道課で公開し、町内在住者や企業・団体等を対象に8月20日から9月14日まで意見を募集する。

 水源の安定確保や老朽化した施設の更新、給水の安定性や効率性の向上、地震災害等非常時の対応・対策、施設及び管路の耐震化、給水量減少化での財源確保と経営の効率化を図るため、水道料金の改定を視野に入れた経営戦略を策定するもの。計画期間は2018(平成30)年度から2027(平成39)年度までの10年間とする。

 今年4月時点の計画給水人口は1万7000人(計画一日最大給水量1万m3)。水源は五十鈴川流域の地下水で、浄水場で塩素剤注入による消毒を行っている。配水池は6つあり、浄水池を含めて7900m3の貯水を確保。導水・送水・配水管路の総延長は約151㎞で、39年度末には法定耐用年数を超過する管路が全体の5割に達する。

 南海トラフ・日向灘地震を見据えた水道施設の耐震化は急務であるが、耐震改修や更新には多大な費用が必要であり、短期間に整備を完了させることは難しい。このため、重要拠点施設への給水を確保するための管路整備を優先的に進める一方で、給水施設の拠点化(飲料水確保拠点の確保)を図り、耐震化の実効性を高めていく。

 基幹管路の更新と合わせて、浄水場から直接給水できる配水システムの整備(送水管及び配水管の連結)や既設配水池の配水圧調整設備(減圧弁等)の更新を行うほか、配水系統をブロック化して漏水状況の把握等を行うことを検討する。有事の際の生活用水等を確保するため、新庁舎敷地内に耐震性貯水槽を設置することも検討する。

 構造物の更新計画では、深井戸の更新期間を実質的に40年、その他主要な構造物の更新期間を法定耐用年数の1・5倍の年数を目途に設定。機械・電気設備も設備毎に耐用年数を延長して更新時期を設定する。管路については、地震発生時の被害率や耐震化の優先性・実行性等を考慮し、更新期間を40~80年の間で設定する。

 一方で、現在の水源は五十鈴川左岸の極めて狭い範囲に集中しており、全ての取水を単一地域の単一水系に頼ることにはリスクが伴うため、取水の安定確保に向けて、唯一、伏流水を取水する第2水源(計画取水量2100m3/日)を維持する必要性を指摘している。ろ過の方法に関しては膜ろ過方式を想定する。

門川町水道事業経営戦略の素案