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中日本高速がICT舗装補修を試行 NEXCO3社で初

 中日本高速道路は、東名高速道路の舗装補修工事で、ICT技術を全面的に活用した試行工事を実施した。新設ではなく補修でのICTの活用はNEXCO3社では初めての取り組み。今後、ICTを活用した舗装補修工事を拡大していく考えだ。

 同社は、すでに新設工事でICT土工の本格導入を進めている。今回、舗装補修工事で、舗装の基層・表層部の施工にICT技術を導入。事前測量、3次元設計データの作成、3次元データによる施工、検査(出来形管理)の全ての工程で適用性を検証した。

 試行工事は、「東名高速道路(特定更新等)富士管内舗装補修工事(2017年度)」。施工は大成ロテックが担当した。

 事前測量は、光波を用いた測量機器(トータルステーション)とレーザースキャナーにより実施した。事前測量データを活用して舗装切削と舗装施工の3次元設計データを作成。これを活用して舗装切削機とアスファルトフィニッシャなどの建設機械を自動制御し、問題なく稼働することを確認した。施工後は、レーザースキャナーにより出来形検査を省力化。路上での測量、検査が削減できた他、測定結果を現場でデータ化できるため、資料作成などの内業を削減できたという。

 同社は今後、ICTを活用した舗装補修工事をさらに展開する考え。得られたデータから従来工法に対する生産効率の評価、測量精度・施工精度を踏まえた管理基準の見直しなどを検討することで、舗装補修工事の安全性・生産性を向上させる方針だ。

■音声による注意喚起を導入

 中日本高速道路は、交通事故防止に向けた取り組みとして、トンネル内を走行中の車両へ「音声」により注意喚起するシステムを導入した。小田原厚木道路で実施中のリニューアル工事で運用している。音声による注意喚起は高速道路会社では初めての取り組み。将来的には、トンネル以外の区間でも導入できるように技術開発を進めていく。

 同社が管理する高速道路では、2017年に40件の交通死亡事故が発生した。このうち渋滞末尾で停止していた車両への追突事故が7件あった。これまで、情報板や標識、標識車などにより注意喚起を行っているが、より効果的に注意喚起するため、視覚情報に加え、「音声」によるシステムを導入することにした。

 導入したのは、小田原厚木道路の小田原西インターチェンジ(IC)~大磯IC間で5月14日~7月末の予定で行われているリニューアル工事。風祭トンネルと二宮トンネルに設置している。

 同システムは、トンネル内に4台のスピーカーを50㍍間隔で設置。4秒以内の音声を最低2回伝える仕組みだ。スピーカーからの音声を車内で聞くと、ドップラー効果で音高が変化して聞き取りにくいため、スピーカーから発する音声は各場所で時間差をつけて放送する。この技術は、東京芸術大学の亀川徹教授、早稲田大学の山﨑芳男名誉教授、同社のグループ会社である中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京と共同で研究開発した。

 このシステムは、警告音に比べ、より詳細な注意喚起をダイレクトに行うことができ、通行車はハイウエーラジオのような操作も必要なく音声を聞くことができる。このシステムを高速道路のより効果的な交通事故対策に役立てたいとしている。