国土交通省は、6月27日に開いた交通政策審議会港湾分科会で、2030年を見据えた港湾の中長期政策「PORT2030」の最終案を明らかにした。主な施策には、港湾分野のi-Construction推進を通じた「港湾建設・維持管理技術の変革と海外展開」や「新たな資源エネルギーの受け入れ・供給などの拠点形成」などを盛り込んだ。
港湾のi-Con推進では、水中ソナーや拡張現実(AR)といったICT技術を測量や施工に導入。将来のロードマップ案も併せて提示。20年までを対象とした短期の目標には、建設生産プロセス全体へのCIM導入を掲げた。3次元の施設情報や水中測位システムによるICT水中施工機械の実用化は、中期(20~30年)の取り組みに位置付けた。同じく中期の施策として、維持管理分野で、ロボットなどによる港湾施設のモニタリング手法を確立する。
さらに、技術基準の海外展開と国際標準化を進め、日本企業が海外で円滑に港湾事業を実施できる環境を整える。モデルとなる国としてベトナムを挙げている。
この他、ハード整備に関わる施策では、バルク貨物岸壁を対象に、老朽化・陳腐化した生産設備の更新タイミングに合わせて輸送インフラの改良・強靱(きょうじん)化を促進。特に石油関連産業について、国内外の競争激化に対応するため輸出用公共岸壁を確保し、臨海部コンビナートの連携を促すとした。また水素などの新エネルギーを念頭に、受け入れ機能の強化や、港湾施設の再配置によるエネルギー産業の誘致を進め、資源の開発・活用拠点を形成していく。
物流機能が沖合へと展開する中で、内港地区の再編による「にぎわい拠点の形成」も打ち出した。マリーナや未利用地などを生かし、民間資金を活用しながら臨海空間の再開発を進める。規制緩和を進めて水域利用と一体的な観光利用を進め、ビーチ・マリンスポーツや観光客のくつろぎスペースなど、砂浜・緑地の幅広い利用を促す。
「PORT2030」は、11月のパブリックコメントを経て、18年内をめどに港湾開発に関する国の基本方針に反映させる。