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「墜落制止用器具」使用、事業者に義務付け 厚労省

■ 改正安衛政省令を19年2月1日施行

 労働政策審議会労働安全衛生分科会(土橋律会長)は5月23日、加藤勝信厚生労働相から諮問された、「墜落による危険のおそれに応じた『要求性能墜落制止用器具』」の使用の事業者への義務付けなどを内容とする労働安全衛生法施行令改正案と同法労働安全衛生規則(安衛則)を改正する省令案要綱を妥当とした。これを受けて、厚生労働省は改正政省令を6月上旬に公布し、2019年2月1日から施行する。墜落制止用器具の使用については経過措置も設ける。

 今回の改正で安全帯の名称を「墜落制止用器具」に変更する。墜落時の身体保護の観点から、墜落防止を目的とする個人用保護具のISO規格などとも適合させ、身体の複数箇所をベルトで支持する「フルハーネス型」墜落抑止用器具の使用を義務付ける。

 これまで安全帯としてその使用を認めていた胴ベルト型のうち、一定の条件に適合する一本つりの使用は高さ6.75㍍以下(建設業では5㍍以下)の作業には認めるものの、従来のU字つりの使用は認めない。

 政省令改正に向けた専門家検討会では、複数の委員から、過去の墜落災害では安全帯を着用していても使用していなかったという事案や、安全帯の使用方法が適切でなかった事案も多いとの指摘があった。

 また、フルハーネス型は胴ベルトと比べて適切な着用や使用方法が難しく、墜落の危険性が高い場所で使用されるものでもあることから、同省は安全衛生特別教育規定についても改正し、労働者への安全教育を強化する。

 具体的には、特別教育の対象に「高さが2㍍以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務(ロープ高所作業に係る業務を除く)」を追加し、実技科目の「墜落制止用器具の使用方法等」(1.5時間)も設ける。

 安衛則改正後の「墜落による危険のおそれに応じた『要求性能墜落制止用器具』」の使用を事業者に義務付けの規定の適用については経過措置を設け、19年8月1日前に製造された安全帯や流通している安全帯については、22年1月1日までの間はその使用を認める。