国土交通省は、直轄工事の受注者から生産性を高める提案を施工段階で受け付ける「生産性向上チャレンジ工事」を試行する。施工手順の工夫、既存技術の組み合わせなど、現場の創意工夫で生産性を高める提案を施工計画書に盛り込んでもらう。施工後に効果が確認された提案に対し、工事成績評定で加点措置を講じる。直轄の大規模工事を中心に対象工事を選び、各地方整備局で10件程度を2018年度中に試行する見通しだ。
同省が進めるi-Constructionでは、ICT施工や新技術導入による建設現場の生産性向上を進めている。ただ、同省では、施工手順の工夫や既存技術の組み合わせなど、現場の創意工夫が生産性を高める余地もあるとみている。
例えば、日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)がまとめた「2017生産性向上事例集」には、従来工法の変更で施工の効率化や省人化を達成した事例を掲載している。こうした事例も参考に「生産性向上チャレンジ工事」を試行し、受注者に積極的な提案を求める。
具体的には、入札説明書に対象工事であることを記載。契約後、受注者は生産性向上につながる具体的な提案を施工計画書に盛り込み、監督職員に提出する。施工計画書に取り組みの内容、期待される効果を明記し、完了検査の際にその効果を報告する。試行に伴う費用は受注者側が負担する。
施工計画書に位置付けた提案に省人化などの生産性を高める効果があった場合、工事成績評定で優位に評価する。受注者から積極的に提案を求めるため、提案時点で見込んでいた生産性向上の効果を確認できなくても、工事成績評定の減点対象にはしない。