国土交通省九州地方整備局港湾空港部は、建設工事及び業務委託の総合評価落札方式に係る評価基準等を4月から一部見直し、平成30年4月1日以降の公告案件から適用する。工事では若手技術者の技術習得機会の拡大に向けた取り組みなどを実施し、業務では配置予定管理技術者の成績点評価や表彰評価の見直しなどを行う。
*建設工事
企業の参加機会の拡大を図るため、WTO対象工事における特定JVの代表者以外の構成員企業の参加資格要件を緩和する。港湾土木で950点以上、港湾等しゅんせつで850点以上としていた構成員の客観点数要件を850点以上、750点以上に見直す。
若手技術者の技術習得機会の拡大に向けて、40歳未満の若手技術者を主任(監理)技術者として配置する場合は、併せて技術指導者の配置を可能とし、この場合の技術者評価の対象者を若手技術者ではなく技術指導者とする。若手技術者を配置する場合には工事の成績評定で加点することで、若手技術者の主任(監理)技術者としての登用を促す。
競争参加資格確認申請時の配置予定技術者数を複数名申請から1名のみとすることにより、申請書類の削減や申請手続きの簡素化を図る。なお、申請書提出から開札日までは、配置予定技術者の変更を可能とする。
技術提案評価型(S型)では、発注者が指定する課題に対して技術提案を求める従前の指定テーマ型に代えて、技術特性や目的物の構造特性を踏まえた課題及び技術提案を自由に提案させる「課題提案型」を実施する。技術提案の評価は、従来の技術提案評価型(S型)の評価方法による評価点に、競争参加者が設定する課題の評価によって決定される係数を乗じて最終評価点とする。
企業・技術者評価の見直しでは、B・C等級向け工事を対象に「若手技術者等の雇用・育成の評価」をオプション項目として追加。これに伴い、従前のオプション項目である「配置予定技術者の年齢」は廃止する。このほか、使用作業船の保有形態の配点に当該申請者の持ち分比率を乗じて算出するなどの見直しを行う。
*業務委託
配置予定管理技術者の成績点は、管理技術者と担当技術者で従事した実績を評価対象としていたが、担当技術者の成績点が管理技術者の成績点より低い傾向にあることから、原則、管理技術者の成績点のみで評価する。また、配置予定管理技術者の表彰評価では、優秀技術者表彰に加えて、優良業務表彰(企業表彰)の実績も含めて評価する。
港湾関係の災害協定や防災訓練等の重要性を考慮し、総合評価落札方式の選定時に企業の災害に関する取り組みを評価する項目を追加する。総合評価落札方式(一般競争を除く)を適用する業務を対象に、参加表明者の経験及び能力の項目に地域貢献度の評価項目を追加し、管内での災害協定の締結や活動・訓練実績を評価する。
受発注者の入札契約手続きの負担軽減を図るため、同様の業務を複数件発注する場合に一括して審査する「一括審査方式(試行)」を創設する。対象は総合評価落札方式を適用する測量・調査、建設コンサル等業務で、▽業務内容及び評価項目が同じ▽施工場所が近接▽求める評価テーマが同じ(標準型のみ)―などを適用条件とする。
複数の業務に参加を希望する場合は、同一の業務実績及び配置予定技術者とし、その際は参加表明書(表紙)のみを提出し、それ以外の資料添付を省略することができる。技術提案書についても同様。複数の業務に参加表明書を提出することは可能であるが、落札決定を受けた場合は、それ以降の業務の入札は「無効」とする。
プロポーザル方式における特定テーマ数は、これまで全て2テーマとしていたが、技術的工夫の余地が比較的少ない測量・調査業務について、業務内容に応じて1~2テーマを可能とする業務を試行する。