国土交通省は、2018年度に発注する直轄工事で、ICT施工の対象を河川浚渫に拡大する方針を決めた。音響測探機器(ナローマルチビームなど)を使った3次元起工測量、3次元設計データによるICT建機の自動制御などを実施する。17年度にアスファルト舗装(路盤工)でスタートしたICT舗装工は、対象工事をコンクリート舗装に拡大。舗装修繕と法面処理工は、18年度に試行導入し、19年度に基準を整備する。
河川浚渫のICT施工は、17年度中に必要な基準類を整備し「ICT浚渫工(河川)」として、18年度から発注する。
船舶に搭載した音響測探機器で3次元起工測量を行い、この3次元データ(現況地形)を活用して設計図面との差から施工量を自動算出する。施工段階では、3次元設計データで自動制御したICT建機を使用。
ICT建機の施工履歴データを活用して検査を行い、出来形管理の書類を半減させる。出来形管理の計測にはレッド測探に加えてマルチビームなどの点群データを採用。従来の抽出検査から面管理(全数検査)を導入するため、全数管理に応じて規格値を緩和する。
発注方式はICT土工などと同様に▽発注者指定(工事成績を加点)▽施工者希望Ⅰ型(総合評価、工事成績を加点)▽施工者希望Ⅱ型(契約後の協議で実施、工事成績を加点)―の3類型とする。施工者希望Ⅰ型と同Ⅱ型はバックホウ浚渫の土量に応じて分類する。
河川浚渫向けの暫定積算基準も定め、ICT機器のリース料(従来建機からの増額分)、ICT建機の初期導入経費は発注者が負担する。
また、アスファルト舗装の路盤工を対象としてきたICT舗装をコンクリート舗装に拡大する。17年度中にコンクリート舗装では未整備だった出来形管理基準を整備する。
さらに、法面処理工と舗装修繕のICT施工を18年度に試行導入する。法面処理工は、ドローンによる写真測量や出来形測量により、人の立ち入れない危険な急傾斜を安全、短時間で測量できるようになる。施工段階では、3次元データで自動制御した法面アンカーを使用する。舗装修繕ではMC路面切削を使ったICT施工を試行し、19年度中に基準類をまとめる。