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新年度に基本設計着手を計画 日南市新庁舎建設基本構想案

 経年に伴う老朽化や耐震性能不足等を背景に、市役所庁舎の建て替えを計画する日南市は、新庁舎建設に係る基本的な考え方を示した「日南市新庁舎建設基本構想案」をまとめた。構想案では、現在地に建て替える新庁舎の必要面積を6400m2程度と想定。平成30年度~32年度に基本・実施設計及び解体工事、33~34年度に建設工事を行う予定でいる。構想案はホームページで公開し、3月15日までパブリックコメントを実施する。

 本庁舎の本館及び議会棟は建設から62年が経過し、建物本体及び設備等の老朽化が進む。また、平成元年に行った耐震診断で「震度6強の地震で倒壊または倒壊の危険性がある」との結果が判明しているほか、庁舎機能が本館・別館・議会棟・保健福祉総合センター等に分散し、バリアフリーへの対応や駐車場も不十分な状態にある、

 これらの現庁舎が抱える様々な課題を解消し、十分な行政サービスの提供と市民のニーズに応えるため、市は平成25年度より庁舎等の整備に関する検討を実施。市民会議からの提言等を踏まえ、副市長及び関係課長で組織する日南市庁舎等整備検討委員会に於いて、新庁舎建設の基本的な考え方を示した基本構想案をとりまとめた。

 構想案では、多様な利用者への配慮や回遊性の高い総合窓口とする「市民サービスの充実を目指した庁舎」、自然エネルギー等の活用により維持管理や地球環境に配慮した「環境にやさしい庁舎」、防災センターとしての機能を併せ持つ「防災拠点としての庁舎」、気軽に来庁でき憩うことができる「市民に開かれた庁舎」を基本方針に掲げる。

 新庁舎の建設場所に関しては、現状以上の敷地面積を確保できる市有地がなく、移転した場合には用地買収や造成等で多額の費用が必要になることや、既存の保健福祉総合センター等を庁舎の一部として利用することで、建設費用を大幅に削減できることなどを踏まえ、現庁舎の敷地に建て替えることとする。

 新庁舎の規模に関しては、将来の想定人口や想定職員・議員数、耐震性能を有する既存施設の活用、防災・災害対策及び市民機能への対応を考慮し、総務省が過去に設けていた算定基準により算出。必要面積は7400m2程度となるが、既存別館を会議室や倉庫等として活用できることから、新庁舎の必要面積は6400m2程度とする。

 新庁舎には総合的な防災・災害対策拠点としての機能が求められることから、国が示す官庁施設の総合耐震耐震計画基準を踏まえ、特に重要な防災拠点施設の目標とされている耐震安全性(構造体=Ⅰ類、建築非構造部材=A類、建築設備=甲類)を目指す。耐震・免震・制震等の構造に関しては、それぞれの長所・短所を検討した上で決定する。

 新庁舎を建設するためには、現在の本館を取り壊す必要があるが、この場合、本館にある電話交換機の移設やキュービクルを仮設する施設が必要となる。新庁舎に於いても同様に、これらの設備等を新設する必要があることから、この無駄を防ぐため、設備棟を事前に建設し、設備等を設置する方法について検討を行う。

 庁舎整備の財源には、事業費の90%に充当でき、返済後に元金と利子の40%が国から地方交付税として措置される合併推進債の活用を想定。整備手法に関しては、設計・施工分離発注方式(従来方式)やリース方式、PFI方式等のメリット・デメリットを考慮し、合併推進債の活用や地元経済に貢献できる事業手法を検討する。

 事業スケジュール案によると、平成30年度上期に基本計画を策定し、同年下期より基本設計業務に着手。平成32年度までに実施設計と本庁舎の解体工事を完了させる。財源として想定する合併推進債の活用期限等を総合的に判断し、33年度に建設工事に着手し、外構工事を含めて34年度内に新庁舎を完成させる考えでいる。

日南市新庁舎建設基本構想案