▲写真は会合の模様
国土交通省は3月26日、建設分野の外国人技能実習制度の適正な運用を図る「建設分野技能実習に関する事業協議会」の初会合を開いた。建設分野の外国人技能実習生は、2011年度と比べ4.4倍に増えていることに加え、昨年11月に施行された技能実習法では実習期間が最長5年に延長され、需要がさらに高まることも予想される。協議会には、学識経験者や建設業団体が参加し、建設分野に特化した同制度をめぐる課題を共有する。
協議会の冒頭で、鈴木英二郎大臣官房審議官は「技能実習法の施行により外国人技能実習制度は新たな局面に入った」と述べた上で「建設需要の旺盛なアジア諸国の実習生を受け入れ、日本式の技能を学んでもらうことは、日本企業の海外進出、送り出し国のインフラ整備にとって極めて有意義だ」との認識を示した。
技能実習法では、各分野を所管する省庁が技能実習の実施状況に関する情報共有、意見交換などを行う協議会を設置できる規定がある。26日に発足した協議会はこの規定に基づき設置されたもので、今後年2回程度のペースで会合を開く見通し。
建設分野で受け入れている技能実習生は、17年10月末時点で3万6589人で、11年度の6791人と比べると438.8%増加したことになる。さらに、昨年11月に施行された技能実習法では、優良な監理団体については最長3年だった実習期間を最長5年に延長することを認める。
実習期間が延長されたことで、実習生の受け入れニーズも高まっている。国交省が協議会に報告したアンケート結果でも「受け入れニーズがさらに高まる」と回答した監理団体は全体の60.8%に上った。
一方、より高い賃金を求めて入国後に失踪するケースが増えたり、技能実習生が福島県内の除染作業に従事していた事例も発覚するなど、受け入れ人数の拡大に伴う課題も明らかになっている。
協議会では、技能実習生を受け入れる建設分野の関係者でこうした課題を共有。技能実習生向けに現場の安全衛生に関するガイドラインを作成することも検討する。