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技能者の能力、就業履歴や資格で評価 検討会

 国土交通省の「建設技能者の能力評価のあり方に関する検討会」は3月20日、建設キャリアアップシステムを活用した能力評価制度に関する中間報告を大筋で固めた。報告書では、建設キャリアアップシステムで客観的、簡易に把握できる技能者の就業履歴(就業日数)と保有資格をポイント化し、技能者の能力を4段階で評価するよう提言。技能者の能力評価は、専門工事業の企業評価の要素の一つとし、今夏に両制度の枠組みを決める。2019年度に技能者・専門工事企業の評価制度の運用を開始する。

 今秋に稼働する建設キャリアアップシステムを活用することで、現在は客観的に把握できない技能者の就業履歴と保有資格を統一ルールで蓄積し、確認できるようにする。

 能力評価制度では、システムに登録される就業履歴と保有資格をポイント化し、発注者、元請けが技能を適切に評価できるようにする。高い評価を受けた技能者の処遇を底上げし、技能のレベルに応じて給与が上昇するキャリアパスを示す狙いがある。

 具体的には、就業日数に応じた「就労点(仮称)」と、保有資格などを「技能点(仮称)」として合算。ポイント数に応じ▽レベル1(初級建設技能者)▽レベル2(中堅建設技能者)▽レベル3(一定の職長経験を有する者)▽レベル4(登録基幹技能者ら)―の4段階で技能者の能力をレベル分けする。

 レベル3の技能者には、就業日数に加え、一定期間以上の職長経験、1級技能検定の資格保有を要件化。登録基幹技能者の資格保有者の他、「建設マスター」や「安全優良職長厚生労働大臣顕彰」などの受賞者は、最高位のレベル4に位置付ける。建設キャリアアップシステムでは、技能者個人にレベルに応じて色分けしたICカードを発行する。

 それぞれのレベルに達するスピードは職種によって異なるため、職種別に求められる資格・経験年数を専門工事業団体が検討し、評価基準を定める。能力評価は技能者を雇用する企業が処遇を決める際の指標と位置付け、各企業は現場での働きぶり(コミュニケーション能力など)も加味し技能者の処遇を決める。

 技能者の能力評価は、18年度から検討を開始する専門工事企業の評価制度の指標にもなる。高い技能・経験のある技能者を公共工事で評価することも検討する。技能レベルの高い技能者を抱え、育成に力を入れる企業の受注機会を拡大し、所属する技能者の処遇改善につなげる。