建設業労働災害防止協会(建災防、錢高一善会長)は、2018年度を初年度とし22年度を最終年度とする「第8次建設業労働災害防止5カ年計画」を策定した。計画期間中の死亡災害の平均発生件数を「第7次計画」期間のそれに対して15%以上減少させるとともに、計画期間中の墜落・転落による死亡災害の平均発生件数を「第7次計画」期間のそれに対して15%以上減少させることを目標として掲げた。計画期間中の休業4日以上の死傷災害の平均発生件数については17年の発生件数に対して5%以上減少させる。
「第8次計画」の重点事項には、▽リスクアセスメントの確実な実施の促進▽建設業労働安全衛生マネジメントシステム(コスモス)の導入促進▽建設従事者の過重労働による健康障害防止対策、メンタルヘルス対策の充実▽東日本大震災等の自然災害に係る復旧・復興工事における労働災害防止対策の推進▽東京オリンピック・パラリンピック関連工事における労働災害防止対策の推進―など12項目を挙げた。
このうち、コスモスの導入促進については「安全・安心で快適な職場環境をつくる」という新たな価値を創造する「NEW COHSMS(ニューコスモス)」を構築。
メンタルヘルス対策の充実については、「建災防方式健康KYと無記名ストレスチェック」などを活用した建設業におけるメンタルヘルス対策を周知する一方、建設現場への個別指導・実施援助や、元請け社員などへのメンタルヘルス対策実施管理者研修を行うなど、総合的な対策を実施する。
他方、重篤度の高い労働災害を減少させるための重点対策としては、▽墜落・転落防止対策▽建設機械・クレーン等災害防止対策▽斜面崩壊災害防止対策▽交通労働災害防止対策▽石綿障害予防対策▽粉じん障害防止対策▽熱中症予防対策―七つの対策を挙げた。
「第7次計画」期間中、年平均で140人が死亡し、建設労働災害における死亡原因の42%以上を占めた墜落・転落災害の減少を目指し、フルハーネス型墜落抑止用器具の使用の徹底を図る。
石綿障害予防対策は、建築物などの解体時における石綿含有建材の有無の事前調査を徹底させ、アーク溶接作業、はつり・解体作業、「ずい道等建設工事」については、粉じんばく露の低減措置を講じるとともに、電動ファン付き呼吸用保護具の使用を励行、じん肺健康診断の実施を徹底させる。