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社保加入率、労働者単位が大幅上昇 国交省

 国土交通省が3月14日に発表した建設業の社会保険加入状況調査(2017年10月時点)で、労働者単位の3保険加入率が前年度比8.8ポイント増の84.6%と大幅に上昇したことが分かった。『社会保険の加入に関する下請け指導ガイドライン』では、17年度以降、元請けに未加入の企業・作業員の現場入場を制限するよう求めており、ガイドラインに基づく加入指導が進んだことが加入率の伸びにつながったとみられる。

 17年10月時点の公共事業労務費調査で、公共工事に従事する約2万4000社、労働者約10万人を対象に、雇用保険、健康保険、厚生年金の加入状況をまとめた。

 労働者単位の加入率(3保険)は、8.8ポイント増の84.6%。調査を開始した11年10月時点と比べると27.9ポイントの伸びとなる。企業単位の加入率(3保険)は0.6ポイント増の96.7%と微増。調査を始めた11年10月時点と比べると、加入率は12.6ポイント伸びた。

 労働者単位の元請け・下請け次数別の加入率は、元請けが89.6%(2.3ポイント増)、1次下請けが82.8%(8.6ポイント増)、2次下請けが85.2%(15.2ポイント増)、3次下請けが82.8%(14.3ポイント増)。下請けの加入率が大きく上昇し、元請けとの加入率の差が大幅に縮まっている。

 労働者単位の加入率が伸びた背景には、17年4月以降の未加入企業・作業員の現場入場制限があるようだ。

 国交省のガイドラインでは、元請けが下請けの作業員の加入状況を作業員名簿で確認し「遅くとも17年度以降においては、適切な保険に加入していることを確認できない作業員については、特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取り扱いとすべき」と明記している。

 17年4月以降、ガイドラインに従った各現場での加入指導が進み、16年10月以前を上回る伸び率になって表れた。ただ、今回の加入率は公共工事に従事する企業、労働者に限定されたもの。国交省は社会保険加入対策を総括するため、18年度に民間工事も含めた加入状況を改めて明らかにする見通しだ。