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公衆災害防止要綱見直し 建設業法の技術的事項に

 国土交通省は、建設工事の公衆災害を防止するための技術基準「建設工事公衆災害防止対策要綱(建築編・土木編)」見直しの大枠を固めた。公衆災害のリスクを最小化するため、設計段階で公衆災害の防止に配慮することを明記。公衆災害のリスクが高い解体工事について、解体建築物の設計図書を施工者に提供するよう発注者に求める。見直しに合わせ、要綱を建設業法の技術的事項に位置付け、民間工事の発注者・施工者にも浸透させる。

 要綱は、工事関係者以外の第三者を巻き込んだ公衆災害を防止する設計、施工上の基準として、1993年に旧建設省の事務次官通達としてまとめられたもの。共通仕様書に要綱を位置付けている直轄工事では、受注者に契約事項として順守を求めている。

 策定から25年が経過しており、その後の制度改正や施工技術の進展を踏まえ、要綱を見直す。3月13日に開いた有識者会議に見直し後の要綱案が示され、大筋で了解を得た。

 要綱案では、工事の発注者と施工者に要綱を順守する責務があることを改めて明確化。特に設計段階で公衆災害の防止に配慮する必要性を示し、必要な情報を施工者に伝達することも合わせて求めた。施工段階では、工事範囲を最小化して公衆災害のリスクを低減する。

 近年の公衆災害に多い埋設物の損傷を防ぐため、発注者・施工者に埋設物の管理者が所有する台帳と設計図面を照合することを義務化。解体工事の発注者には、解体建築物の設計図書・増改築記録・点検記録などを提供することも求める。

 要綱策定後にバリアフリー法が制定されたことを踏まえ、高齢者・障害者にとって安全な歩行者用通路を確保する規定も追加。高齢者・障害者の通行が想定される場合は通常75㌢の通路幅を90㌢とすることを求める。

 要綱の見直しに合わせ、発注者、設計者、中小建設業への浸透にも力を入れる。建設業法に基づく技術的事項とすることで、要綱の位置付けを明確にするとともに、資格試験や講習内容に反映し、民間工事分野での認知度を高める。