国土交通省の「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」の部会は、発注行政の今後の方向性を示す中間報告案をまとめた。大規模維持更新時代に対応するため、修繕工事の実態を踏まえた積算・入札契約方式の改善や、修繕工事に関する工種の新設などを提言。地域建設業が活躍できる市場を創出するため、等級区分の設置や地域要件の適用とともに、上位等級に発注される、より規模の大きい工事への参入を認めることなどを求めた。懇談会は2018年度に体制を再構築し、中間報告に盛り込まれる各論の検討に入る。
懇談会に設置された「今後の発注者のあり方に関する基本問題検討部会」が昨年5月からの検討の成果を中間報告案としてまとめた。市町村の発注体制が脆弱(ぜいじゃく)化し、大規模維持更新時代を迎えるに当たり、公共事業の発注者が取り組むべき施策を提言している。
提言の柱の一つに位置付けたのは「建設生産・管理システムの不断の改善」で、積算、入札契約、企業評価、技術者評価などの改善を求めた。
具体的には、直轄事業において、大規模構造物の修繕工事に新工種を設けたり、地域建設企業の受注が多い工種に等級を設ける必要性を指摘。現場に不確定要素がある修繕工事では、単価契約やコストプラスフィー契約などの実態に沿った支払い方式の導入も求めた。
直轄工事における企業評価(競争参加資格審査、入札、工事成績)の見直しも提言。全国・ブロック単位を市場とする大手・中堅企業と地域企業が経営戦略に応じて評価手法を選択できる「(仮称)選択マーケット制」の導入、発注標準の工種区分・等級区分の見直しなどを求めている。
「『地域の守り手』である地域建設業の持続的な育成・確保」も提言の柱になる。高い技術力・現場力のある地域建設企業が上位等級に参入できるようにしたり、直轄工事の実績がない地域建設企業を「チャレンジ型」や「自治体実績評価型」によって参入できるようにする。
土木職員が減少している市町村に対しては、相互の情報共有・連携強化で体制を維持するよう提案。地域発注者協議会の活用に加え、積算システムの標準化・共有化、工事成績評定の相互利用を検討することを求めた。
■検討体制を再構築
懇談会は、早ければ3月中に中間報告を最終決定する。18年度には、懇談会に▽企業・技術者評価部会▽積算・品質管理部会▽入札・契約制度部会(仮称)▽測量・調査・設計部会(仮称)▽維持管理部会(仮称)―を設け、施策の具体化を急ぐ。