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延床面積は最大3千㎡を想定 五ヶ瀬町新庁舎基本構想案

 経年に伴う老朽化や狭隘化、耐震性能不足等を背景に、役場庁舎の建て替えを計画する五ヶ瀬町は、新庁舎建設に係る基本的な考え方を示した「五ヶ瀬町新庁舎建設基本構想案」をまとめた。現在の職員駐車場を建設候補地とし、入居職員数を踏まえた延床面積を最大で3000m2と想定。建設費用を約13億円と概算する。平成32年度の完成を目指し、平成30年度より基本計画の策定や基本・実施設計、本体工事に順次着手する。

 現在の役場庁舎(大字三ヶ所1670番地、延床面積2287m2)は昭和47年に移転建設し、平成2年に施設の増改築を行った。建設から46年が経過した現在、経年に伴う施設や設備の老朽化が進むと共に、電算機器等の導入等による狭隘化や各課の分散化を余儀なくされているうえ、エレベーター等の生活弱者対策も不足している。

 一方で、大雨時には施設1階部分が浸水するなど災害に脆弱な状況にあり、今年度に実施した耐力度調査で「極めて耐震性が低く、耐震化も厳しい」との指摘を受けている。現庁舎が抱える様々な課題を解消し、町民サービスや行政効率の向上を図るため、新庁舎建設に係る基本的な考え方を示した新庁舎建設基本構想案をまとめた。

 構想案では、町政の根幹となる総合計画等の諸構想及び計画を踏まえ、新庁舎建設の基本的考え方として①町民に開かれた、誰もが使いやすい庁舎②町民サービス、事務効率の向上を目指した機能的な庁舎③町民の安心・安全な暮らしを支える拠点としての庁舎④議会活動を推進する場⑤簡素で効率的、経済的な庁舎―の5項目を掲げた。

 新庁舎は申請や相談等の行政手続きの場に限らず、まちづくりの中心施設として、町民と行政のコミュニケーションが円滑に図られるよう配慮する。将来の行政需要の増大等に対して、組織の変更等にも柔軟に対応できる配置(オープンフロア)とし、個人情報の保護等セキュリティ面を配慮したICT化等への対応も重視する。

 町民の安心・安全な暮らしを支える拠点として、高度な耐震性や防火性、災害時に対応できる機能を備え、有事の際には危機管理及び災害復興の拠点としての役割と機能を担う。一方で、厳しい財政面を考慮し、華美な要素を極力抑制し、組織改編等に対する柔軟性や機能性等を重視するとともに、維持管理費の低減や省エネ対策等に努める。

 新庁舎の位置に関しては、現庁舎位置とそれ以外の用地に建設した場合のメリット・デメリットを比較して総合的に判断した結果、「現在の職員駐車場に建設することが望ましい」との考えを示した。新庁舎の敷地に関しては、庁舎規模や駐車場等を考慮し、現在の敷地面積(約3632m2)と同程度または同等以上の有効面積を確保する。

 総務省が定める地方債同意等基準運用要綱を参考に、入居職員数や職員一人当たり面積により新庁舎の想定規模を算出。事務室や倉庫、会議室、玄関及び廊下、議会等の標準諸室に加え、災害対策室や備蓄倉庫、サーバー室、避難スペース、町民交流スペース等の各諸室の配置を考慮し、新庁舎の延床面積を最大3000m2と想定する。

 これを踏まえた概算の建設費用を約13億円と試算。内訳は、本体建設工事費や外構工事費、旧庁舎解体工事費が約12億円、基本計画や基本・実施設計、施工監理等の委託料が約8千万円。財源に関しては、耐震化未実施の市町村庁舎の建て替えに活用できる、国の市町村役場機能緊急保全事業などを視野に入れる。

 新庁舎建設に係る基本計画の策定や設計、施工等の事業者選定は、公平な審査基準に従い、選定過程の透明性を図る。特に、基本計画・基本設計・実施設計は、その連動性に配慮し、相互が一体となって効果的に機能し、相乗的な効果が発揮できるよう、豊富な経験や高度な技術力、最適な創造力等を有する事業者を採用できる手法を検討する。

 また、新庁舎建設に伴う地元経済への波及効果を推進する方策についても、事業者選定手法の検討の中で考慮する。

 平成32年度を期限とする市町村役場機能緊急保全事業の活用を前提とした事業スケジュールによると、平成30年度に基本計画の策定や新庁舎の基本・実施設計を行う見通し。31年度から32年度にかけて本体建設工事や付帯工事等を行い、最終的に32年度内の新庁舎完成を目指す。

 五ヶ瀬町新庁舎建設基本構想案はホームページや役場総務課で公開し、3月31日まで町内に在住・在勤・在学する者を対象としたパブリックコメントを実施する。

五ヶ瀬町新庁舎建設基本構想案