▲労災防止強調月間のポスター
建設業労働災害防止協会(建災防、錢高一善会長)は、2017年度の建設業年度末労働災害防止強調月間実施要領をまとめた。3月1日~31日までの1カ月間を労働災害防止への取り組みを従前よりも強化する「強調月間」とし、経営トップと建設現場の管理監督者、本社・支店と作業所との緊密な連携などを働き掛けていく。
厚生労働省がまとめた労働災害発生状況(速報)によると、建設業の17年の労働災害による死亡者数は293人で、前年同期に比べて16人(5.8%)増加。死亡災害と休業4日以上の死傷者数の合計は1万3839人で、前年同期に比べて64人(0.5%)増加している。
同省の第12次労働災害防止計画(13~17年)期間中に休業4日以上の死傷災害を15%以上減少させるという目標は達成できたものの、死亡者数については、目標としていた「20%以上減少」には届かず、死亡者数は前計画期間終了年の12年と比べ、61人(17.2%)の減少にとどまっている。
建災防は、近年発生している労働災害の背景には、技術者・技能労働者の不足や高齢化、作業に不慣れな新規参入者の就労など、顕在化した建設業の課題があるとみて、労働災害の増加に警戒を強めている。
実施要領は、特に完工を迎える工事が多くなる年度末は現場での作業が輻輳(ふくそう)し、労働災害が発生する危険性が高まることを指摘。経営トップがリーダーシップを発揮し、関係者と店社、作業所が一体となって現場の実情に即した実施計画を作成、労働災害防止活動を積極的に展開するよう促している。