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調査設計の履行期限平準化 モデル事務所で意識転換

 国土交通省は、直轄の調査・設計業務の履行期限を平準化するため、業務発注サイクルの見直しを検討する。3月末納期の業務はここ数年で減少しているものの、依然として8割の業務が第4四半期に履行期限を迎えている。国債、繰り越しの活用で業務発注のサイクルを見直し、上半期中に納期末を迎える業務を増やす。発注者側に平準化の意識を浸透させるため、平準化のモデルケースとなる事務所を設けることも検討する。

 調査・設計業務では、工事よりも年度末に履行期限が集中する傾向が強く、このことが受託者の長時間労働、成果品の品質低下などを招いている。国交省は、履行期限を平準化するため、4~12月に履行期限を迎える業務を全体の25%以上、1~2月を25%以上、3月を50%以下とする目標を設けている。

 2016年度の実績を見ると、3月に履行期限を迎える業務は53.8%で、5年前の11年度と比べ11.1ポイント減少。1~2月は25.3%と3.6ポイント減少している。次年度に履行期限を繰り越す業務や、国債を活用する業務が増えたことが背景にある。

 ただ、依然として8割の業務が1~3月に履行期限を迎えており、国交省は年度単位で履行期間を設定する、従来の業務発注サイクルの見直しを検討する。9月に履行期限を迎える業務を増やせば、年末から発注手続きに入るゼロ国債工事の設計ストックが増え、工事を含めた直轄事業全体の平準化への効果も期待できる。

 同省では、18年度に平準化のモデルとなる事務所を設けることを検討。モデル事務所の事例を他事務所に展開することで、発注者側の意識転換を促す。また、17年度から運用を開始した「履行期間設定支援ツール」を活用し、適正な履行期間の設定による働き方改革にも力を入れる。