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360人が参加、技術・技能を共有 全国圧送技術大会

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▲写真は大会の模様

 全国コンクリート圧送事業団体連合会(長谷川員典会長)は2月24日、「良質なコンクリート構造物の提供」をテーマに第1回全国圧送技術大会を東京都千代田区の日本大学理工学部駿河台校舎で開いた。会員企業をはじめゼネコンや生コン製造業者、メーカー、学識者など360人が参加。41の報告・論文発表を行い、コンクリートポンプ工法の技術・技能や新たな取り組みについて情報共有した。

 大会の冒頭、あいさつに立った長谷川員典会長は、初めての技術大会の目的について「コンクリートポンプ工法と関連技術を広く公表し、関係業界と交流を深め、コンクリート圧送工事の技術・技能の向上を図ること」と説明。大会開催を実現した関係者の協力に感謝した。そして「これからのコンクリート圧送を考え、伝える、技術発表の集大成にしたい」と呼び掛けた。

 また、大会組織委員長を務めた十河茂幸近未来コンクリート研究会代表は、「登録基幹技能者制度によって個々の技術は向上したが、業界全体としては課題がある。安全・品質・技術の情報を共有することで、建設業界全体に貢献できる。現場に持ち帰り技術を高めてほしい」と話した。

 41の発表の中から優秀発表として最優秀賞2点、優秀賞2点、全圧連賞5点が選ばれた。最優秀・優秀賞と発表者は次の通り(敬称略)。
【最優秀賞】▽2000㍍を超える長距離圧送を伴うシールドトンネルインバートの施行―関根和弘(エステック)▽2000㍍を超える長距離圧送におけるコンクリートの配合に関する一考察―根本浩史(清水建設土木技術本部)
【優秀賞】吊るし打ちを前提とした扁平ゴムホースの材料分離抑制効果―橋本学(鹿島建設技術研究所土木材料グループ)▽圧送に伴うコンクリートの品質変化に関する実験的検討―宮田敦典(日本大学理工学部建築学科)。

■博多駅前道路陥没での復旧作業を報告

 全国コンクリート圧送事業団体連合会の第1回全国圧送技術大会で、福岡佐賀コンクリートポンプ協同組合の井戸貢理事長が、2016年11月に発生した福岡市の博多駅前陥没事故でのコンクリートポンプ車を使った復旧工事について報告した。井戸氏は、「大量の流動化処理土やポンプ車、オペレーターなど作業員を迅速に用意できたこと」が、わずか1週間での早期復旧につながったと話した。

 井戸氏の報告によると道路陥没が発生したのは16年11月8日午前5時15分ごろ。午前10時ごろに地下鉄工事の元請会社から同組合に「早急にポンプ車を手配してほしい」と協力要請があった。組合では、すぐに対応が可能な組合員5社を確認。午前11時には2社の30㍍クラスのブーム車2台を現場に配置し、埋め戻し作業について元請けと協議を始めた。

 埋め戻し材は、均し作業が不要で、早期に強度が期待できる流動化処理土に決まった。そして、協力要請を受けてから約4時間30分しか経っていない午後2時30分から打ち込み作業を開始した。

 埋め戻しは6日間にわたって行われ、プラント会社6社の協力により、約3400m3の流動化処理土を使用した。井戸氏は「砕石や土砂ではなく、流動化処理土を採用したことが早期復旧のポイントの一つになった」と指摘した。砕石や土砂であれば、転圧や締め固めなど作業が繁雑になり、復旧までにもっと時間がかかった。

 井戸氏は「大規模な事故だったが、現場の迅速な判断や行政との連携による早期の立ち入り規制などで負傷者が出なかったことは不幸中の幸い。今後、県や市との災害協定も視野に、緊急時に圧送業界として万全の態勢がとれるように検討していく」と述べた。