国土交通省は、2018年度から直轄の地質調査業務と測量業務でプロポーザル方式の採用を拡大する。建設生産プロセスの上流に当たる地質調査、測量の品質を高めるのが狙い。地質調査では「地質リスク調査検討」、測量では「3次元地形データ」を含む調査にプロポーザル方式を採用する。設計業務に地質調査・測量業者の知見を生かすため、設計業務との異業種JVで発注することも検討する。
2016年度に契約した直轄の測量業務は1607件、地質調査業務は748件。発注方式別に見ると、測量は価格競争の834件(51.9%)と総合評価方式の716件(44.6%)が大半を占める。プロポーザルは3件(0.2%)で、特命随意契約の54件(3.4%)よりも件数が少ない。
地質調査のプロポーザルの採用件数は47件(6.3%)と、測量よりも採用件数は多いが、価格競争(322件、43%)と総合評価(359件、48%)で90%以上を占める構図に変わりはない。
一方、土木関係の設計業務では、プロポーザルの採用件数は2499件と全体の37.5%に上っている。調査・設計業務の運用ガイドラインでは、測量と地質調査にもプロポーザルの採用を認めているが、採用されるのはわずかな件数にとどまっているのが現状だ。
国交省は、2月23日に開いた「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」で、設計業務のさらに上流にある測量と地質調査の品質を確保するため、より技術力を重視したプロポーザルを採用する方向性を提示。
測量は「3次元地形データ」を対象とし、3次元測量の精度を高めることで、その後の設計、施工段階の3次元データ活用を円滑化。地質調査では、後工程に与える影響の大きい「地質リスク調査検討」で提案を募り、リスクの発現を予見した上で施工に臨む体制を整える。
設計と地質調査、設計と測量の組み合わせで、異業種JVを採用することも検討。異業種間の連携を高めることで、設計・地質調査・測量の各成果の品質向上につなげる。