国土交通省は、公共工事設計労務単価の引き上げに伴い、建設業団体108団体に対し、技能労働者の適切な賃金水準の確保を要請した。労務単価が2012年度比で43.4%上昇したことを踏まえ、技能労働者の処遇を改善するよう、会員企業への周知を求めた。発注者側の地方自治体、主要な民間発注者団体(37団体)にも通知し、適正価格での発注を要請した。
16日に発表された労務単価は全国全職種平均で17年3月比で2.8%上昇した。労務単価は12年度以降の6年で43.4%伸び、ピーク時の1997年度と比べても97.4%まで回復した。
建設業団体に対する要請は、例年の労務単価改定の際に土地・建設産業局長名で通知する。今回の通知では、技能労働者の賃金が13~16年で7%上昇し、他産業よりも高い伸び率を示しているものの、依然として製造業よりも低い水準にあると記載。国交省が行った実態調査でも、高い次数の下請け企業ほど賃金が低い傾向にあるとして、賃金を継続的に引き上げ、担い手の確保・育成を図るよう求めた。
建設業の働き方改革に伴い、長時間労働を是正した適正工期で契約を結ぶ際、必要経費(労務費、法定福利費、建設業退職金共済の事業主負担額など)にしわ寄せを生じさせないよう、下請け契約上の配慮も要請した。
公共工事の発注者である自治体や、民間工事の発注者団体に対しても、技能労働者の賃金に配慮した適正価格での発注を要請。特に、民間工事では、公共工事に比べて法定福利費が支払われない実態があるとして、社会保険料の事業主負担・本人負担分を適切に請負契約に盛り込むよう求めた。