国土交通省は、3月1日から適用する公共工事設計労務単価を発表した。全国全職種の平均は平成29年3月比で2.8%増の1万8632円(伸び率は単純平均値、金額は加重平均値)で、単価が上昇局面に入った24年度から7年連続で上昇。伸び率は年々下降しているものの、24年度の単価と比べると43.3%上昇した。ピーク時の9年度から見ると97.4%まで回復したことになる。
労務単価は、所定労働時間8時間当たりの基本給と基準内手当、1日当たりの臨時給与と実物給与で構成。昨年10月時点で施工中の公共工事1万1207件に従事した技能労働者10万0175人を対象に賃金を調査し、その結果を踏まえて改定した。今回は週休2日を取得した技能労働者の賃金を反映するため、企業の休業手当などを調査対象に追加、調査結果を新単価に反映している。
調査は51職種を対象に行ったが、昨年に続き「屋根ふき工」「建築ブロック工」「タイル工」の3職種は有効標本を確保できず、単価の設定に至っていない。
新単価の伸び率を地域別で見ると、熊本地震の災害復旧が本格化した熊本県の5.5%増が最も伸び率が高い。九州北部豪雨の災害復旧も重なり、ブロック別でも九州・沖縄の5.2%増が最高の伸び。東日本大震災の被災3県の単価は1.9%増と前回の伸び率(3.3%増)を下回った。
技能労働者数の多い主要な12職種では▽交通誘導員B3.7%増▽交通誘導員A3.6%増▽軽作業員3%増▽運転手(一般)2.8%増▽運転手(特殊)2.8%増▽特殊作業員2.8%増▽普通作業員2.7%増▽とび2.6%増▽大工2.6%増▽左官2.6%増▽鉄筋工2.6%増▽型枠工2.6%増―の順に単価が上昇した。
この他、造園工が2.1%増、電工が2%増、配管工が2.4%増となっている。全国平均が前回の単価を下回った職種はなかった。
新単価は3月1日以降に契約する国交省・農林水産省の直轄工事に適用する。2月1日に成立した29年度補正予算で措置した工事の円滑な執行を図る。旧単価で入札した工事に新単価を反映させる特例措置も適用する。
■新単価で特例措置
国土交通省は、3月1日適用の公共工事設計労務単価と設計業務等技術者単価の改定に合わせ、直轄の工事・業務に新単価を反映させる特例措置を講じるよう、各地方整備局などに通達した。旧単価で予定価格を積算し、3月1日以降に契約する工事・業務ではいったん旧単価で契約し、新単価を反映させた上での契約変更を認める。
特例措置は単価が大幅に上昇した平成25年度以降、例年行っているもので、入札・契約手続き中の工事・業務を対象に新単価を適用できるよう救済する。
3月1日以降に入札書の提出期限を設定し、旧単価で入札書が提出された工事・業務は、参加者に新単価を反映させた入札書を再度提出してもらう。2月28日に入札書の提出期限を設けている場合は、旧単価のままで落札者を決め、契約を結ぶ。その後、新単価を反映した予定価格に落札率を乗じた価格で契約変更する。
工事に限っては、3月1日以前に契約を結んでいても、インフレスライド条項が適用されれば新単価を反映することが可能。残工期2カ月以上の工事で、新単価を適用した残工事費が旧単価による残工事費を1%以上上回れば、発注者が費用を負担する。