国土交通省は、先進的な技術や手法を活用した優良なまちづくりを表彰する「第2回先進的まちづくりシティコンペ」で、東京都世田谷区の二子玉川東地区再開発を含む、二子玉川ライズ協議会による「二子玉川ライズの街づくり」、商店街の空き店舗を活用した長野県飯田市の飯田まちづくりカンパニーによる「『並木横丁いこいこ』まちなか空店舗再生創業事業」、土地区画整理や鉄道連続立体交差事業などによって中心市街地再生を進める宮崎県日向市など5団体による「産学官民連携による地域と市民が主役のまちづくり」の3事業を国土交通大臣賞に決定した。
二子玉川東地区では、遊園地跡地などを活用した市街地再開発によって、商業施設やオフィス、住宅、ホテルなどの多様な機能を整備し、地域のにぎわいを生み出した。さらに、二子玉川ライズ協議会が、さまざまなイベントを開催し、地区のブランド向上に取り組んでいる。コンペ審査委員会は、「“郊外から都心へ”という人の流れを変えることができる先進的な取り組み」などとして評価した。
『並木横丁いこいこ』まちなか空店舗再生創業事業の対象エリアは飯田市の中心市街地。郊外化の進行などによって空き店舗が増加し、空洞化が問題になっていた。そこで、市街地再開などで実績のある飯田まちづくりカンパニーが、空き店舗の解消を目指して商業施設整備などに取り組んだ。
同社は地権者から土地建物を一括賃借し、リノベーションなどを施して出店者に転貸している。また、公募した出店者に経営のノウハウなどを伝授している。こういったトータルコーディネートの事業手法を、「全国の地方都市が直面している“都市のスポンジ化”という課題に対して、正面から向き合った好事例」と評価した。
日向市などによるまちづくりの対象は、JR日豊本線の日向市駅を中心とした中心市街地50.6㌶。地区は、定住人口の減少や空き店舗の増加などにより衰退していた。そこで、市や県、JR九州、地元住民らが連携して土地区画整理・鉄道連続立体交差・交流拠点施設整備・商業集積整備の4事業に取り組んだ。さらに、「まちは舞台、人が主役」をコンセプトに市民を巻き込んだ活動を展開している。
「市民が誇りに思える街づくりを志しており、駅を中心とした公共空間の魅力と、子どもや若者を含んだ市民がより当事者意識をもって参画できる取り組みが共に実現できている」「市民を巻き込んだ様々な取り組みが展開されており、地方都市におけるプロジェクトを核とした住民参加のまちづくりの好事例である」と評価した。
今回のコンペではこのほか、徳島県美波町の伊座利の未来を考える推進協議会による「人口10万人のむらを目指す、たかが100人されど100人のむらづくり物語」の取り組みを審査委員会特別賞に選んだ。同町では、少子高齢化や過疎化を食い止めようと、全住民が参加する協議会を設立。人の交流・移住・定住の促進策として漁業体験イベントなどを開催し、移住者による人口維持や高齢化率の低下などを実現している。
■3月14日にシンポジウムを開催
国土交通省は、第2回先進的まちづくりシティコンペシンポジウムを3月14日、東京都文京区の住宅金融支援機構本店にある「すまい・るホール」で開催する。国土交通大臣・審査委員会特別賞に選ばれた4地区の表彰式や、4地区の関係者によるパネルディスカッションを行う。
「センシュアス・シティ―本当の都市の魅力を測る新しいものさし―」をテーマとした島原万丈LIFULL HOME’S総研所長の特別講演もある。時間は13時30分~16時20分。入場無料。参加申し込み・問い合わせ先は都市みらい推進機構先進的まちづくりシティコンペ係・電話03(5261)5625。