経年に伴う老朽化や狭隘化、耐震性能不足等を背景に、役場庁舎の建て替えを計画する五ヶ瀬町は、新庁舎建設に係る基本的な考え方を示した「五ヶ瀬町新庁舎建設基本計画案」をまとめた。現在の職員駐車場を建設地とし、新庁舎は3層構成で延床面積を概ね3000m2と設定する。平成31年度上期までに新庁舎の設計をまとめ、同年度下期から32年度にかけて本体建設工事を行う見通しでいる。
現在の役場庁舎(大字三ヶ所1670番地、延床面積2287m2)は昭和47年に竣工し、平成2年に増改築を行った。建設から46年が経過した現在、経年に伴う施設や設備の老朽化が進むとともに、電算機器等の導入等による狭隘化、各課の分散化が課題であり、エレベーター等のバリアフリー対策も不足している。
また、大雨時には施設1階部分が浸水するなど災害に対して脆弱であり、29年度に実施した耐震診断で「極めて耐震性が低く耐震化も厳しい」との指摘を受けている。現庁舎が抱える課題を解消し、町民サービスや行政効率の向上を図るため、町は新庁舎建設を最重要課題と位置付け、新庁舎建設の指針となる基本計画案をまとめた。
基本計画案では、今年3月に策定した基本構想の考えを踏襲し、新庁舎建設の基本的な考え方として①町民に開かれた、誰もが使いやすい庁舎②町民サービス、事務効率の向上を目指した機能的な庁舎③町民の安心・安全な暮らしを支える拠点としての庁舎④議会活動を推進する場⑤簡素で効率的、経済的な庁舎―の5項目を掲げた。
これに基づく具体的な整備機能として、▽町民交流スペースの整備▽地場産材の活用▽ユニバーサルレイアウトの導入▽機能的な課の配置▽災害対策本部機能▽バックアップ電源等の整備▽情報通信技術の活用による情報発信▽省エネ機器・高効率機器の設置▽周辺景観との調和・良好な景観づくり▽多目的広場の確保―などを設定する。
新庁舎の位置に関しては、現庁舎位置や職員駐車場、他の町有地に建設したケースを総合的に比較・検討し、アクセス性が良好で費用負担も比較的少ない「現在の庁舎職員駐車場に建設する計画が適切」と判断した。町道赤谷中央線に正面を向けた配置計画とし、新庁舎の建物位置を考慮しながら駐車場の配置を検討する。
国の地方債同意等基準運用要綱等を参考に、新庁舎の延床面積は概ね3000m2と設定。ゆとりのある外部空間を確保するため、新庁舎は3層構成とする。強固な耐震性やコスト面・工期面を満足する耐震構造を前提とした計画とし、建物の構造種別や建築基準法で定める耐震性能に関しては基本設計に於いて適切に設定する。
新庁舎の1階には、町民課・福祉課・会計室など町民の利用が多い窓口フロア、町民ホール、会議室等を集約し、町民の利便性向上を図る。2階にはその他の課や町長室、副町長室、災害対策関連諸室等を配置。3階は議場や議会関係諸室など議会機能を中心としたフロアと会議室等で構成し、議会エリアの独立性を確保する。
最近の庁舎建設事例等を参考に算出した現時点での概算事業費は15億9800万円程度を見込む。内訳は、本体建設工事費や外構工事費、旧庁舎解体工事費が14億7500万円程度、基本計画や基本・実施設計、施工監理等の委託料が9300万円程度、家具什器や引っ越しなどその他の費用が3000万円程度。
新庁舎建設事業の財源として、市町村役場機能緊急保全事業の活用を前提としており、適用期限である平成32年度の工事完成を目指して事業を進めていく。石本建築事務所が担当する基本計画策定、基本設計・実施設計を31年度上期までに完了させ、31年度下期から32年度末にかけて建設本体工事等を進める考えでいる。
五ヶ瀬町新庁舎建設基本計画案は、町のホームページや役場総務課で公開し、12月17日まで町内に在住・在勤・在学者を対象に意見を募集する。