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国道388号松瀬工区の着手了承 宮崎県公共事業評価委員会

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▲松瀬工区の路線計画図

 宮崎県公共事業評価委員会(谷口義信委員長=宮崎大学名誉教授、委員10人)の平成30年度第3回会合が12月25日に開かれた。会合では、防災・安全社会資本整備交付金を活用する道路事業「一般国道388号松瀬工区」(門川町)について事前評価を行い、対応方針の原案どおり、平成31年度に新規着手することを委員が了承した。

 公共事業評価は、事業の必要性と効果について客観的な評価を行うことで、効率的・効果的な社会資本の整備を実現するために実施するもの。評価の体系は、事業着手前に重要度や投資効果等を評価する事前評価、着手から一定年数経過時点で進捗状況や効果等を把握する再評価、事業完了後に効果や影響等を確認する事後評価に分かれる。

 25日に開かれた会合では、県土整備部が所管する道路事業「一般国道388号松瀬工区」の事前評価を実施。道路建設課の担当者が、異常気象による道路冠水や土砂流出で通行止めが発生している現状を示し、事業の目的や概要、整備効果を説明した。

 一般国道388号は、大分県佐伯市を起点とし、延岡市、門川町、美郷町、椎葉村を通過して熊本県湯前町に至る路線。九州中央部の中山間地域の連携軸を形成するとともに、地域住民にとって必要不可欠な生命線であり、広域的産業活動と地域生活を支える。

 このうち松瀬工区は、門川町と美郷町の町境から門川町庭谷に至る区間に位置。線形不良や幅員狭小による狭隘区間を解消し、救急医療など沿線地域の生活と福祉の支援、地域間交流の活性化、安全・安心な生活環境の確保を目的に路線の整備を行う。

 全体計画では、門川町庭谷から美郷町北郷黒木までの5.8㎞(計画幅員7m)を整備する方針でいるが、長区間の整備による事業の長期化を防ぎ、事業効果を早期に発現させるため、門川町庭谷から町境までの3.9㎞を松瀬工区と位置付け、優先的に整備する。

 松瀬工区内では、五十鈴川に沿って走る現道の改良を行いつつ、トンネル1箇所(延長210m)や橋梁2箇所(各90m)を含むバイパスを整備し、線形不良箇所の解消を図る。事業期間は平成31年度から38年度まで。全体事業費は約56億円を見込む。

 一方、町境から美郷町北郷黒木の1.9㎞区間は、松瀬工区の進捗状況等を踏まえて着手する方針。主要構造物として、トンネル2箇所(660m、130m)や橋梁1箇所(30m)の整備を計画し、松瀬工区を含む路線全体の事業費を約95億円と概算する。

 当該路線を整備することで、木材輸出量が急増する細島港の物流機能の強化や門川町及び美郷町の観光誘客の促進が図られるほか、走行時間短縮に伴う緊急輸送等の医療活動への支援、異常気象による全面通行止めや交通事故の低減等の効果が期待される。

 会合ではこのほか、「一級河川五ヶ瀬川水系北川(下流)」(延岡市)と「二級河川耳川水系耳川」(日向市)の再評価も実施。事業の目的や概要、進捗状況、前回評価からの変更点等を担当者が説明し、対応方針の原案どおり、両事業の継続を委員が了承した。

 五ヶ瀬川水系北川(下流)は、洪水による家屋の浸水被害を解消するため、土地利用一体型水防災事業で宅地の嵩上げ(200戸)を行うもの。全体事業費は約54億円。30年度末までに約190戸の整備終える予定であり、31年度の事業完了を予定する。

 耳川水系耳川は、流下能力の向上と浸水被害の軽減を目的に、耳川河口から17.8㎞区間に於いて河道掘削や築堤、護岸整備、宅地嵩上げ、橋梁の架け替え等を行うもの。全体事業費は約173億円で、進捗率は事業費ベースで83.5%となっている。37年度の完了を目指し、各地区で築堤や橋梁架け替え、宅地嵩上げ等を推進する。