宮崎県公共事業評価委員会(谷口義信委員長=宮崎大学名誉教授、委員10人)の平成30年度第2回会合が11月8日に開かれた。会合では、防災・安全交付金を活用した広域河川改修事業「二級河川五十鈴川水系五十鈴川」(門川町)について事前評価を行い、対応方針の原案どおり、31年度に新規着手することを委員が了承した。
公共事業評価は、事業の必要性と効果について客観的な評価を行うことで、効率的・効果的な社会資本の整備を実現するために実施するもの。評価の体系は、事業着手前に重要度や投資効果等を評価する事前評価、着手から一定年数経過時点で進捗状況や効果等を把握する再評価、事業完了後に効果や影響等を確認する事後評価に分かれる。
8日に開かれた会合では、県土整備部が所管する広域河川改修事業「二級河川五十鈴川水系五十鈴川」の事前評価を実施。河川課の担当者が、県内に於ける河川整備率が5割にとどまっていることや21河川で広域河川改修事業などに取り組んでいることを紹介し、五十鈴川に於ける河川改修事業の概要や必要性などを説明した。
五十鈴川は、日向灘に注ぐ流域面積209.4km2、幹線流路延長48.0㎞の県知事が管理する二級河川。平成16年10月の台風23号、26年6月の集中豪雨、28年9月の台風16号による出水で浸水被害が生じたほか、28年9月の台風16号では冠水により国道388号が13時間にわたって通行止めになった。
特に、河口から約4㎞上流にある小園井堰から更生橋までの約8㎞の区間は、現況の河川断面が小さく、流下能力が低い状況にあり、沿川の集落や農耕地に浸水被害が生じている。このため、治水安全度を向上させ、当該地域の家屋浸水被害を軽減するとともに、国道388号の冠水解消を目的として当該河川の整備に取り組む。
整備に際しては、10年に一回程度の確立で発生する洪水を想定。計画流量を1300m3/s(基準点の更生橋は1100m3/s)と設定し、堤防高が不足している箇所で築堤を行うほか、河積が不足している箇所で河道掘削や護岸整備等に取り組む。総事業費は21億円。平成31年度に事業に着手し、45年度の完成を目指す。
質疑では、10年に一回程度の計画規模を不安視する委員の質問に対し、過去の洪水発生時の流量が計画する堤防の余裕高の範囲内であることを説明した。委員はこのほか、河川内の堰や潜水橋、災害時の流木が流下能力に影響を与えることを踏まえ、「これらの関係部局や自治体と一体的に整備に取り組むことが望ましい」と意見した。
委員会ではこのほか、平成25年度に再評価を行った▽一級河川大淀川水系小松川▽二級河川広渡川水系戸高川▽二級河川広渡川水系酒谷川▽一級河川大淀川水系深年川―の4つの河川事業の再評価を行った。前回評価から事業計画に大幅な変更がなかったため、審議の手間や時間を省く一括審議で評価を行い、事業の継続を了承した。
流下能力が不足する各河川に於いて、河道掘削や堤防・護岸の整備、橋梁架替、堰の改修等に取り組むもの。各河川の全体事業費と現在の進捗率(事業費ベース)は、▽小松川=95億円(70.8%)▽戸高川=93億円(43.9%)▽酒谷川=19億7000万円(66.1%)▽深年川=62億円(91.5%)―となっている。