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個人サンプラー 溶接、塗装等で先行導入 厚労省

 厚生労働省の「個人サンプラーを活用した作業環境管理のための専門家検討会」(座長、明星敏彦・産業医科大学産業生態科学研究所教授)は、個人サンプラーをリスクアセスメントと作業環境測定の一括実施を可能にするものと評価、「作業環境測定の一つの方法として広範な作業に導入することが望ましい」などとする報告書をまとめた。また、報告書は個人サンプラーによる測定ができる作業環境測定士の養成を推進する必要があることも指摘。溶接や吹付け塗装など、個人サンプラーの特性が発揮できる作業を先行して部分的に導入するよう求めた。これを受けて同省は、先行導入する作業の具体的な測定・評価方法や測定を実施できる人材の養成方法などについて検討。労働安全衛生法(安衛法)の関係省令改正に向けた準備を進めていく方針だ。

 現行の安衛法(第65条)は事業者に対し、一定の作業場では化学物質などの濃度を測定・評価するために規定されている作業環境測定基準に基づくA・B測定の実施を義務づけている。

 報告書は、個人サンプラーで測定する2方法は、作業環境測定に加えて、リスクアセスメントも同時に行うことができるため、作業環境測定の一つの方法として広範な作業場に導入することが望ましい、などと薦めた。

 その上で、個人サンプラーによる測定方法を導入しようとした場合、この測定を実施できる作業環境測定士の数が十分ではないとも指摘し、一定の養成期間が必要なことにも考慮して、まず一部の作業に個人サンプラーによる測定を先行導入し、A・B測定と個人サンプラーによる測定のいずれかを選択できるようにするよう求めている。

 こうした指摘や要請を受けた同省は、この報告書を踏まえ、▽発散源が作業者とともに移動し、発散源と作業者との間に測定点を置くことが困難な作業▽有害性が高く、管理濃度が物質を取り扱うことで、作業者の動きによる呼吸域付近の評価結果が、その他の作業に比べて相対的に大きく変動すると考えられる作業―の大きく分けて二つの作業で先行的に導入する。

 19年度からは作業環境測定士を養成するためのテキスト作成と講師養成研修を実施する一方、先行導入に向けた関係省令の改正作業を開始する。20年度から作業環境測定士養成研修を始め、21年度に改正省令などを施行し、先行導入をスタートさせる。

 個人サンプラーを作業環境測定に全面導入するか否かについては、23年以降、改めて検討する。