国土交通省は、受注者の技術提案と価格交渉で仕様・予定価格を決める「技術提案・交渉方式」(ECI方式)の入札契約手続きを簡素化する。同省では、設計から工事完成までの期間を短縮する効果が確認された「技術協力・施工タイプ」の採用件数を伸ばしたい考えで、入札契約手続きを簡素化し、同方式を採用しやすい環境を整える。同方式の運用ガイドラインを見直し、技術協力業務を受注した施工者と契約を締結するまでの手続きを効率化する。
技術提案・交渉方式では、発注者が最適な仕様を設定できない工事、仕様の前提となる条件の確定が困難な工事が主な対象。技術提案で選定した優先交渉権者と発注者が価格交渉を行い、仕様と予定価格を定める。2016年度以降、直轄工事7件に採用されている。
同方式のうち「技術協力・施工タイプ」は、技術提案で選んだ優先交渉権者に「技術協力業務」を委託し、技術提案の内容を設計に反映させる。施工費用の妥当性を検証した上で、価格交渉を行い、合意した優先交渉権者と施工契約を結ぶ。
同タイプを採用した「犀川大橋橋梁補修工事」は今年7月末に工事を完了。技術協力業務を受注していた施工者が関与したことで、足場を設置した詳細な調査を行うことができ、施工性に優れた補修工法への修正を設計段階で取り入れることもできた。工期遅延や契約額の増加も発生しなかったという。
国交省は、採用の効果を確認できた「技術協力・施工タイプ」を中心に技術提案・交渉方式の入札契約手続きを簡素化する。「技術提案・交渉方式運用ガイドライン」を見直し、技術協力業務と詳細設計の実施手順や留意点、適用しやすい工種なども記載する考え。