町政施行100周年を記念して都農町が整備を計画する「総合保健福祉センター(仮称)」に関して、町は新たに施設を建設するケースと旧国民健康保険病院を改修して活用するケースについて検討していたが、既存施設の耐震診断結果を踏まえ「旧病院を解体して新施設を建設する」案を軸に検討を進めていることが分かった。今後も様々な視点から検討を継続し、具体的な整備の方向性をまとめる。
都農町が計画する総合保健福祉センターは、健康増進機能と社会福祉機能を集約した複合的施設として整備するもの。町民の健康増進や児童及び高齢者等の社会福祉を展開する地域包括ケアシステムの拠点であると同時に、会議室等を含む多機能スペースを確保し、地域コミュニティや生涯学習の場としても活用する。
町が総合保健福祉センターの整備候補地と想定するエリアは、今年4月に診療を開始した都農町国民健康保険病院(都農町大字川北5202)の近接地。新病院を医療ゾーン、新たに整備する総合保健福祉センターを健康福祉ゾーンとそれぞれ位置付け、両施設の連携を図りながら一体的に機能させる考えでいる。
施設の整備に向けて町は昨年10月、施設整備に係る基本・実施設計業務を別当設計に委託。整備の方向性を検討する中で行った旧病院の耐震診断に於いて、既存施設が病院以外の用途で使用する際の耐震性能を満たしていないことが分かった。既存施設を耐震改修して活用する場合、多額の費用が必要になるという。
一方で町は今年8月、宮崎大学と「まちづくり団体」との連携に関する協定を締結。▽医療・保健・介護・福祉▽産業振興・地域振興▽教育・人材育成―を柱とした自立・自走のシステムづくりを目指し、町が費用を負担する寄附講座の開設や医学生の地域医療実習など、多方面な取り組みを展開する予定でいる。
既存施設の現状に加え、寄附講座と連携した機能等が必要になることを踏まえ、現時点では旧病院を解体し、跡地に新施設を建設する案を軸に検討を進めている。具体的な整備スケジュールは明らかにしていないが、早期に整備の方向性をまとめ、施設の設計や工事を経て、町政施行100周年を迎える32年度内の完成を目指す。