建設現場の生産性を高めるICT活用工事の普及拡大を巡り、地方自治体から小規模施工の積算基準改善を求める声が出ている。国土交通省の積算基準では「掘削」や「盛土」に比べて施工規模が小さい「床掘」はICT施工に対応していない。ICT施工の現場では床掘をICT建機で施工するケースもあり、積算と施工実態に差が生じる現場もあるという。
10月18日に浜松市内で開かれた「都道府県技術管理等主管課長会議」で、参加した都道府県・政令市からこうした意見が上がった。
床掘は、構造物を築造・撤去するために現地盤線か施工基面から土砂などを掘り下げる作業。国交省の積算基準は、掘削・盛土はICT建機、床掘は通常建機で積算することになっており、ICT施工には対応していない。
ただ、小規模工事が多い自治体の発注工事では、狭い範囲で施工するものが多く、床掘・掘削・盛土に応じて建機を入れ替えるのが難しい。このため、床掘を施工する際もリース料の割高なICT建機を使用することがあり、積算価格と現場実態に差が生じる恐れもある。
18日の会合では、都道府県・政令市から「床掘を含めた小規模工事に対応した積算基準の設定により、自治体、中小建設業へのICT技術の普及が期待できる」などと、床掘へのICT活用に向け、積算基準や歩掛の制定を求める声が相次いだ。
国交省は、各自治体に協力を求めて歩掛調査などを行い、調査結果を踏まえて今後の対応を検討する考えだ。