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県立宮崎病院にES事業導入 公募型プロポで事業者選定

 県立宮崎病院の再整備事業を進めている宮崎県病院局は、新病院に於ける空調用熱源機器等の設計・施工や開院後の運転管理、維持保全等を一括して行うエネルギーサービス事業(ES事業)を導入することを明らかにした。事業者の選定は公募型プロポーザル方式で行い、ことし3月中にも事業者を決定する見通しでいる。

 経年に伴う施設の老朽化への対応や狭隘化の解消、災害対応力の強化、診療機能の向上等を目的に、現在の敷地内に病院を全面改築するほか、一部施設は改修して活用する。基本設計段階の施設規模は、鉄骨造(免震構造)地上8階及び塔屋1階、延床面積4万8139m2。施設整備に係る実施設計が日建・コラム設計業務共同企業体で進む。

 一方で、近年の資材費及び人件費の高騰、新病院の延床面積の増床等を背景に建設費が増大したため、病院局は実施設計段階で設計業者とは異なる視点からコスト抑制策の立案及び発注者へのアドバイス等を行うCM(コンストラクション・マネジメント)業務をプラスPMに委託。総額で50億円程度の事業費縮減を目指す。

 病院局が導入を決めたエネルギーサービス事業(ES事業)は、建物等のエネルギー使用状況や問題点を把握し、コージェネレーション等の省エネ・省コスト機器をはじめとする設備等を顧客のニーズ(イニシャルコストレス・年間経常費の削減・メンテナンス保証・運転管理)にあわせてコーディネートするもの。

 事業者は、新病院の空調用熱源機器等の設計・施工、開院後の病院へのエネルギー供給と機器の運転管理・維持保全を一体的に行い、病院はこれらの対価としてエネルギーサービス料を事業者に支払う。設備に係る建設費の抑制が期待されるほか、省エネルギー化や対象機器の長寿命化、施設管理事務の軽減等が図られる。

 事業者の選定は公募型プロポーザル方式で行うこととしており、ことし3月中にも事業者を決定する。事業期間は新病院の完成後15年間を予定する。

 事業全体のスケジュールは、準備工事と位置付ける仮設工事や立体駐車場建設工事、病院東側の市道改築工事を30年4月中旬に公告し、5月以降に着工する見通し。実施設計の委託期間が30年10月末であることを踏まえ、同年11月~12月頃に新病院建設工事を公告し、30年度末までに工事請負契約を締結する。

 31年度より新病院の建設工事を本格化させ、33年度中頃までに完成させる予定。その間、既存病院の解体設計や付属棟及び研修等の改修設計も進める。33年度末までに新病院を開院し、これに合わせて旧病院の解体工事や既存施設の改修工事に着手。外構・植栽工事等を経て、35年度早期にグランドオープンする。

■参加条件や発注区分など整理、民間企業と対話

 宮崎県病院局は、民間事業者等との対話を通じて事業の相互理解を図り、民間事業者等が事業に参加しやすい参加条件や発注区分、施工計画等を整理することを目的としたマーケットサウンディングを昨年12月1日から14日にかけて実施した。

 対話の参加者は、宮崎県が発注する建設工事(建築一式工事・電気工事・管工事)の入札参加資格認定を受けた者で、平成14年12月以降に一般病床100床以上の病院の新築、増築または改築に係る工事を元請けとして施工・完了した実績がある者。

 対話には、建築工事の有資格者である県内2社と県外4社、電気工事の有資格者である県外1社、管工事の有資格者である県外2社が参加(重複あり)。各社と1時間程度、入札参加条件や発注区分、工事費の動向、施工計画、取組意欲等について対話した。

 病院局はこのほか、ことし1月24日から26日にかけて県内の設備工事関連団体とも、入札参加条件や取組意欲等に関する意見交換を行っている。