全国中小建設業協会(全中建、豊田剛会長)は、働き方改革に関する指標を1月19日に開いた理事会で決めた。週休2日や時間外労働の削減などに取り組むほか、若者の入職者の獲得が難しくなっている中、女性や高齢者が活躍できるよう、短時間勤務や育児・介護休暇取得など、多様なニーズに応じる職場環境の整備を進める。適正な価格と工期による受注も徹底する。
指標は①長時間労働の是正など②処遇改善③生産性の向上④その他―で構成。
長時間労働の是正などでは、週休2日の推進▽時間外労働の削減▽働きやすい環境の整備▽メンタルヘルス対策―などを推進する。
このうち働きやすい環境の整備については、仮設トイレの設置の義務付けなど、女性が活躍できる環境整備に業界が一体になって取り組む。また、高齢者に対して、労働時間を抑制して疲労が蓄積しないようにするなど、安全で安心して働ける職場環境を整える。
メンタルヘルス対策では「メンタルヘルスに対する旧来的な考え方を打破」し、良好な人間関係が構築される、働きやすい環境づくりを推進するとともに、健康確保のためのサポート体制を強化する。
処遇改善では▽賃金水準の確保・向上▽社会保険加入促進▽人材の確保・雇用の安定―に取り組む。
賃金水準の確保・向上に向け、技能者のキャリアアップシステムを活用するほか、個々の職員の職務や成果、能力、経験などへの適切な評価に基づく適切な賃金の支払いを実施する。
また、人材の確保・雇用の安定では、入職した若者層が離職しないためにも、技能者としての基礎的な職業訓練や、業界人として必要な知識を身に付けるための教育を実践する。さらに、少子高齢化によって若年入職者の確保が難しくなっていることから、働く意欲のある女性や高齢者が活躍できるよう、短時間勤務など多様なニーズに応じた働き方ができる職場環境を整備する。
生産性の向上では、職場に見合った設計・作業計画を策定するとともに、作成書類の簡素化など業務の効率を見直す。
この他、「働き方改革の指標を達成するには、国、地方公共団体、民間などの発注者の理解と協力」が必要だとし、施工の平準化▽適正工期の設定▽適切な労務単価の設定▽書類の簡素化―などを求めていく。
また、「不当に短い工期や低価格での受注は、品質の低下を招き、適正利潤を確保する改正品確法の趣旨に反する」とし、「厳に慎まなければならない」とした。さらに低価格受注については労働環境の悪化も懸念。「適正利潤が確保される適正価格と適正工期による受注の徹底」に取り組む。
■時間外労働削減計画、会員ごとに実行計画
全国中小建設業協会は、19日に開いた理事会で「時間外労働時間の削減計画」を決めた。改正労働基準法によって定められる時間外労働の上限を指標に、各会員企業が段階的な時間外労働の削減計画を策定、計画を実行していく。
通常国会に提出される改正労働基準法により、新たに建設業にも適用される罰則付きの時間外労働の上限規制に対応するもの。建設業には、法の施行後5年の猶予期間がることから、法が定める年間720時間の上限規制などに5年後までに対応する。これに合わせ、週休2日制も5年後をめどに定着させる方針だ。
複数月の上限規制についても法の規制に沿って月間平均80時間以内にする。1カ月の上限も同様に100時間以内にする。
計画の推進に当たって、会員企業は職員の時間外労働の実態を調査・把握し、段階的な削減に向けた年次計画を策定、会社と社員の意識改革を図る。
また、毎年度、達成度合を検証し、不十分な場合は要因を分析し、改善方策を実行する。