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予防行政の動向など学ぶ 消防用設備等セミナーを開催

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▲写真は講師の伊﨑氏、セミナーの模様

 一般財団法人宮崎県消防設備協会は1月17日、協会創立40周年の記念式典と合わせて、平成29年度の「消防用設備等セミナー」を開催した。総務省消防庁予防課の伊﨑広大総務事務官を講師に招き、「予防行政の動向」と題して、民泊等における消防法令上の取り扱いや消防用設備等の点検報告制度に係る対応などを解説した。

 消防用設備等セミナーは、火災等における建物の安全対策を推進するため、防火対象物関係者や消防用設備等関係者等を対象として、毎年開催しているもの。消防用設備等の設置や点検時の事故・不適切な事例等を紹介し、適切な消防用設備等の設置と維持に対する理解を深めることを目的としている。

 講師を務めた伊﨑氏は、民泊サービスに関する動向として、ことし6月に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)の概要を紹介。同法に基づく届出住宅等に係る消防法令上の取り扱いについて、一戸建て住宅や共同住宅等の住戸は宿泊室の面積や家主の居住・不在によって用途を区分し、これに基づく防火安全対策を求めることを説明した。

 また、古民家を利用して宿泊施設や飲食店、物販店を営む場合に必要な消防用設備等について、リーフレットを用いて紹介。延床面積300m2未満の宿泊施設には特定小規模施設用自動火災報知設備が利用できることや、一定の条件を満たす場合には誘導灯及び誘導標識の設置が免除されることなどを解説した。

 消防用設備等の点検報告制度に関する説明では、平成28年度末時点の点検報告率の全国平均が49.2%(宮崎県は45.9%)であることを説明。消防用設備等の試験基準及び点検要領の改正(平成29年3月)に於いて、誘導灯の経年劣化等を踏まえた点検方法の見直しや自動火災報知設備の煙感知器感度試験の追加が行われたことを説明した。

 最近の大規模火災事故への対応として、木造建築物密集地域の飲食店から出火し、強風で広範囲に延焼拡大した糸魚川大規模火災を踏まえ、延床面積150m2未満の小規模な飲食店にも消火器の設置を義務付ける方向で検討していることを説明。関係者が自ら消火器の点検報告を行えるよう、分かりやすいリーフレットの作成や点検アプリの開発を進めていることを紹介した。

 一方、埼玉県三芳町の倉庫火災では一部の防火シャッターに閉鎖障害や不作動が確認されたことから、大規模倉庫の事業者自らが防火シャッター等の維持管理計画を策定・実施すると共に、電線のショートによる被害防止対策を強化するため、断路器の設置もしくは端子部分の耐熱性の強化のいずれかの対策を講じることなどを説明した。