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今春に国土地盤情報センター設立へ 全地連

 全国地質調査業協会連合会(全地連、成田賢会長)は、2018年春に「一般財団法人国土地盤情報センター」を設立する。全地連が1月16日、関東地質調査業協会(坂上敏彦会長)と合同で開いた新年賀詞交歓会の席上、成田会長が同日に開いた理事会で承認を得たことを明らかにした。「今後、(国土交通省をはじめとする)関係機関の理解と協力を得て、将来的には地盤情報に関するナショナルセンターに育てていきたい」(成田会長)考えだ。

 国土地盤情報センターは、地盤情報を国土形成の基盤となる「国土情報」と位置付けた上で、地盤情報のデータプラットフォームを構築し、これを運営する。社会資本である地盤情報のデータバンクとしての機能を担うことで、地盤情報データの公開と効率的な活用を促進する。

 同センターの他の主な事業活動としては、▽WEB‐GISによる情報機能の開発と提供▽品質確保策の検討と実施▽地盤情報の2次利用の機能追加と供用▽地質リスクマネジメントとの連携▽関連委員会(「民間ボーリング情報公開検討会」など)の設置と課題の検討―などの実施を想定している。

 成田会長は賀詞交歓会の席上、2016年11月8日に福岡市交通局が発注した地下鉄七隈線延伸工事現場での道路陥没事故に触れ、地盤情報の活用の促進と地質リスクマネジメントの重要性を改めて指摘。

 その上で「第4次産業革命、CIMやi-Constructionを推進するには地盤情報も電子データベースを構築、充実させなければならない。これまでの人海戦術によるものではなく、情報通信技術を存分に活用する全地連でありたい」と話すなど、社会資本整備の発注・管理のプロセスで地質リスクマネジメントの導入・実践や、i-ConstructionとCIMにおける地盤情報の活用につなげていきたいとの意気込みを示している。

 一方、国土交通省も福岡市で発生した道路陥没事故以降、これまで以上に地盤情報の重要性に着目するようになっている。

 社会資本整備審議会・交通政策審議会が17年7月に公表した答申「地下空間の利活用に関する安全技術の確立について」の中で、さらに「今後の発注者のあり方に関する基本問題検討部会」(座長、小澤一雅東大大学院教授)が17年11月に意見集約を行った中間取りまとめ方針(案)でも、一貫して地盤情報の有効性と利活用の必要性を指摘している。

 全地連には、総務省が政府の「電子行政オープンデータ戦略」の実現を目的として12年度に実施した「情報流通連携基盤の地盤情報における実証」を受託。さらに、熊本地震が発生した際には早期の復旧・復興を支援するため、実証実験で収集した熊本県内と大分県内のボーリング柱状図を同省の了承を得て緊急公開するなど、実証過程で構築したWEBサイトを活用し、地盤情報データを公開した実績がある。

 今春の設立を目指している国土地盤情報センターが担う機能と役割は、全地連がこれまで一貫して行ってきた地盤情報の有効性と利活用の必要性についての提言と、WEBサイトを活用した地盤情報データ公開の実績などを踏まえたもので、全地連は16年度に大西有三氏(関西大学客員教授)を委員長とする「地盤情報活用検討会」を設置。同センターの設立構想の取りまとめに着手していた。