国土交通省は1月15日、「建設業社会保険推進連絡協議会」を開き、2018年度以降に実施する社会保険加入対策を報告した。民間工事で、元請けが下請けを加入企業に限定させる誓約書を発注者に提出することを推奨。「民間建設工事標準請負契約約款」を改正し、下請けを加入企業に限定することを契約事項とすることも検討する。「建設キャリアアップシステム」を活用し、技能者や一人親方の加入状況を簡易に把握する取り組みも試行する。18年度からの2年間でこれらの対策を集中的に進め、社保加入の徹底・定着を目指す。
協議会の冒頭で、田村計土地・建設産業局長は対策に取り組んだ企業、団体に謝意を示した上で「先行的に(社会保険料の)負担を決めた企業が不利になることは決してあってはならない」と発言。「引き続き対策を緩めることなく、業界とともに対策に取り組みたい」と続け、目標年次である17年度以降も継続的に対策を講じる方針を示した。
同省は、18年度からの2年間で未加入企業への対策を強化するとともに、法定福利費が下請けまで行き渡る対策を強化し、加入の徹底と定着を図る。
未加入企業への対策の強化では、これまで公共工事の発注者が進めてきた加入企業を限定する措置を民間発注者に拡大する。具体的には、社会保険に適切に加入した企業が施工に携わることを約束する誓約書を活用。民間工事を受注した元請けが同省作成の誓約書を活用し、発注者に提出することを推奨する。
誓約書を活用し、法令を順守した加入企業のみが工事に携わる意識を浸透させた上で、民間約款を改正して受発注者間の契約にも加入企業に限定する規定を盛り込む。
各現場で行っている加入確認の合理化・適正化も進める。建設キャリアアップシステムでは、真正性を確保した労働者単位の加入状況を簡易に確認することができるため、従来の作業員名簿に頼らない、システムを活用した加入確認をシステムの運用を開始する今秋以降、試行する。施工体系図の記載事項に加入状況を追加し、各現場で未加入企業を見える化する取り組みも始める。
未加入企業への対策強化で、法定福利費の負担を免れる〝一人親方化〟がさらに進むことも懸念されるため、加入の適用除外である個人事業所(従業員4人以下)や一人親方への対応策も検討する。