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社会保険加入、許可要件に 建設業法改正を検討

 国土交通省は、建設業法を改正し、社会保険加入を建設業許可要件に追加する検討に入る。2012年度に開始した社会保険加入対策から5年が経過し、許可業者の3保険(雇用保険、健康保険、厚生年金保険)の加入率は90%を超える見通しだが、依然として未加入の許可業者が存在することは不公平な競争環境を招く恐れがある。こうした懸念を払拭(ふっしょく)するため、法改正で対策を強化し、許可業者から未加入企業を排除する枠組みをつくる。

 国交省は12年11月から、建設業許可行政庁(地方整備局、都道府県)が建設業許可・更新、経営事項審査の申請の際に加入状況を確認し、未加入の許可業者への加入指導を行っている。許可行政庁の加入指導に従わない場合は、厚生労働省に通報し、社会保険等担当部局などが加入指導を行う。

 許可・更新時の加入指導スタートから5年がたち、許可業者の3保険加入率は91.5%(17年12月末時点、推計値)に上昇。2017年4月以降、未加入企業・作業員の入場制限が各現場で進んだことも加入率を押し上げる要因となった。

 ただ、国交省が打ち出している企業単位での目標は許可業者の加入率を100%とすること。未加入企業は全許可業者の1割に満たないものの、社会保険料を負担している企業と負担しない企業が同じ市場に存在することは、不公平な競争環境にもつながる。許可制度上で進めてきた対策を加入指導から許可要件へと厳格化し、目標の達成を確実にする。

 こうした方向性は、1月15日に開いた「建設業社会保険推進連絡協議会」で、未加入企業の許可・更新を認めない仕組みをつくることを18年度以降2年間で進める対策の一つに盛り込まれた。今後、許可要件の見直しに向け、建設業法改正への議論を本格化させる。

 社会保険加入を許可要件に追加することは、建設産業政策会議が17年7月にまとめた『建設産業政策2017+10』にも盛り込まれていた。提言では、未加入企業に許可を与えない許可要件とするか、許可行政庁が未加入企業に許可を与える代わりに、5年後の更新時までの加入を約束させる許可の条件とすることを求めていた。