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社保加入定着へ、現場技術者向け研修 国交省

 国土交通省は、2018年度に社会保険加入の徹底と定着を目指した対策を講じる。17年度からスタートした未加入企業・作業員の現場入場制限では、加入すべき保険の解釈をめぐって誤った指導が行われているとの指摘があるため、トラブル防止を目的に現場技術者向けの研修を開催。また、建設キャリアアップシステムの来秋の運用開始をにらみ、システムを活用した加入確認のルールも検討する。

 建設業の社会保険加入対策は、2012年度から5年間で、企業単位の加入率が12ポイント増の96%、労働者別の加入率が19ポイント増の76%まで進んだ。企業単位100%、労働者単位で製造業相当の目標達成に向けた加入の徹底とともに、企業・作業員が加入を継続できるよう定着を意識した対策を講じる。

 「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」では、17年度以降、元請けに対して未加入の企業・作業員の現場入場を制限するよう求めている。ただ、事業所の形態や常用労働者数によって、加入する保険は異なる。また、国交省は厚生年金保険に未加入の60歳以上の作業員らの現場入場を特例として認めるとの通知も発出している。

 ただ、こうした理解が進まず、一部の現場で加入義務のない作業員に保険加入を求めるケースもあるという。国交省は、現場で加入指導に当たる元請けの現場技術者らをターゲットに研修を開き、正しい理解の浸透を図る考えだ。

 さらに、小規模事業者に対しては、法定福利費を内訳明示した見積書の作成方法などを学べるセミナーを継続して開催。国交省の費用負担により、建設業の社会保険加入に社会保険労務士が応じる無料の相談窓口も開設する予定だ。

 また、18年度には建設キャリアアップシステムを活用した作業員の加入確認の在り方も検討する。建設業団体や有識者らの意見を踏まえ、システムを使用した加入確認のルールを定める。作業員名簿による加入確認を求めている「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」の改訂も視野に入れている。

 同省では、18年度当初予算に社会保険加入対策の関連経費4400万円を要求。この他にも、法定福利費の支払い状況に関する実態調査、都道府県単位での加入推進地域会議の開催などの経費を盛り込んでいる。