国土交通省は、7月の九州北部豪雨による被害状況を踏まえ、都道府県が管理する全国の中小河川で緊急点検を実施することを決めた。土砂・流木被害の危険性が高い箇所や氾濫が頻発している箇所、水位把握が困難な中小河川などを点検する。11月末に点検結果と対応策をまとめ、重点的なハード・ソフト対策を講じるとしている。
緊急点検は、全国で都道府県が管理する約2万の中小河川を▽土砂・流木対策▽再度の氾濫防止対策▽水位把握―の観点で絞り込み、災害発生時の危険度を調査する。
九州北部豪雨では、局地的な豪雨が、急峻(きゅうしゅん)な河川で、土砂や流木による大きな被害をもたらした。このため、谷底を流れる河川や、過去に土砂・流木被害が生じた履歴がある河川では、流下能力や砂防堰堤の整備状況を調査するとともに、想定される被害家屋数・面積なども算出する。
氾濫被害が生じた履歴のある中小河川では、流下能力や被災履歴とともに、氾濫した場合に浸水することが想定される沿川の重要施設(県庁、市町村役場、救急指定病院など)も調査。住民が避難する際の判断材料となる水位計の設置状況も点検する。
同省はまた、九州北部豪雨を含め、6~8月に豪雨被害を受けた地域のに対し、年度途中でも予算措置できる「災害対策等緊急事業推進費」の充当を決定。河川の越水・溢水対策に49億7500万円、崖崩れ対策に6億9800万円の合計56億7300万円(いずれも国費)を措置する。