国土交通省は、建機・労働力の相互融通による協業化や多能工育成に取り組む地域建設企業を支援するモデル事業を2018年度に新たに実施する。多能工化・協業化に取り組む企業グループに対し、上限300万円で経費を助成。モデル事業の成果や実態調査の結果を踏まえたガイドラインもまとめ、他企業に展開する。18年度当初予算の概算要求にモデル事業などの経費9800万円を盛り込んだ。
中小・中堅建設企業は、手持ち工事量が変動するため、継続的な受注が見込めない不安から建機への投資に消極的になる傾向がある。ただ、国交省は、建機や労働者を過剰に抱える企業と不足する企業が同じ地域に共存しており、協業化で限られた経営資源の有効活用を促す。
モデル事業では、建機と労働力を企業間で融通する取り組みを支援。建機・労働力が地域で適正に活用されることで、地域建設産業の業績の安定化を図る。地域のインフラの維持や防災力の強化にもつなげる。
一方、複数の異なる作業・工程をこなせる多能工は、現場に配置することで工種の入れ替えで生じる手待ち時間が減り、手戻りの縮小や全体工期の短縮、コスト削減に効果があるとされている。ただ、多能工を育成する訓練手法は確立されておらず、企業単位では教育訓練のコスト負担も重い。モデル事業によって、異業種の企業グループを支援することで、育成手法の確立や育成コストの負担軽減を図る。
モデル事業では、1件当たり300万円を限度に多能工化・協業化の費用を支援。18年度は多能工化・協業化で合計25件程度を選定したい考えだ。モデル事業に合わせ、実態調査を行って多能工化・協業化の効果の高い職種なども検証。国交省がガイドラインを作成し、モデル事業の成果を他企業に展開する。